3Dデータの活用は、開発設計の業務全体に密接に関連している。従ってその教育は、3Dツールの操作方法など一部の教育を除いて、一般的な技術者教育内容の中に織り込んでいくのが現実的かつ効果的である。イメージとしては、データの取り扱い教育の一部で“3Dデータに関する取り扱い”の説明を実施する、あるいはデザインレビュー教育の中で“3Dデータの見方”を説明する、といった形である。逆に言えば、それぞれの教育内容の中で普通に使用されるデータとして3Dデータが登場する、といったイメージである。

 に、一般的な各教育の中でどのような3Dデータ活用教育を織り込むべきかを示した。以下、それぞれの教育について具体的に解説していこう。

表●一般的技術者教育に織り込む3Dデータ活用教育
一般的な技術者教育内容3Dデータ活用に関する教育内容例
固有技術製品技術設計の思考プロセスとモデリング手順の関連
評価技術シミュレーションの原理、シミュレーションと実験の差異
生産技術金型製作、組立作業のシミュレーション原理、シミュレーションと実際の差異
開発ツール3D-CAD、CAE、軽量3Dアプリケーション、CAM、3Dプリンタの使用方法
技能
ビジネス知識自社業務各部門の3Dデータ活用水準の現状と目標
自業界/法規制競合の3Dデータ活用水準
他業界3Dデータ活用先進事例
社会動向3Dデータ活用に関する社会動向(個人工場の増加など)
ビジネススキルビジネスマナー/技術者倫理3Dデータ取り扱いマナー/セキュリティ
PCアプリケーションオフィス製品での軽量3Dデータの取り扱い
分析/統計シミュレーションと実験の差異
ロジカルシンキング/問題解決3Dデータによる課題抽出、課題管理方法
コミュニケーション/プレゼンテーション/交渉3Dデータを使ったコミュニケーション、各種書類の制作方法
アイデア発想3Dデータを使った商品企画方法
マーケティング/ビジネスモデル3Dデータによる市場、競合の変化
マネジメントプロセス・マネジメント3Dデータ活用によるフロント・ローディング、バーチャルDR
組織マネジメント3Dデータ活用プロセスにおける各組織の役割
プロジェクト・マネジメント/リーダーシップ3Dデータによる課題抽出/解決方法
ナレッジ・マネジメント3Dデータによる製品・技術資産蓄積方法