「Liイオン2次電池の研究がパソコンや通信機器、電気自動車などにインパクトを与え、大きな誇りを感じています。電池技術者の励みにもなります。これからも世界になかったものを生み出し、世界に供給していくため、創造性、独創性、個性を大切に研究に取り組んでいきたいと考えています」――。

図1 「The Global Energy Prize」のトロフィーを手にする旭化成の吉野彰氏(右、写真:旭化成)

 2013年6月21日、ロシアはサンクトペテルブルグの地で一人の日本人技術者がスポットライトの中心にいました(図1)。“Liイオン2次電池の生みの親”として知られる、旭化成のフェロー 吉野彰氏です。同氏はこの日、「ロシアのノーベル賞」ともいわれるエネルギー分野の優れた業績をたたえる「The Global Energy Prize」の授賞式に出席していたのでした。

 吉野氏がLiイオン2次電池の基本技術を開発したのは1985年。それから30年ほどがたちましたが、Liイオン2次電池の“次”を見据えた研究開発が盛り上がりを見せています。「ポストLiイオン2次電池」と呼ばれる領域で、思い返せば2013年2月20日のエディターズ・ノート「 トヨタが注力するLi空気電池」で動向を紹介していました。

電池技術者を刺激する1枚の絵

 2013年6月28日に発刊した書籍「次世代電池2014」でも、「全固体電池」や「Li空気電池」「Naイオン2次電池」などの研究開発の詳細をまとめました。最新の取り組みを研究者の方々に協力を頂きながら編集を進めたのですが、その中で1枚の絵が印象に残りました。