車体を軽量化するために、日本国内向けの自動車で近年採用が増えてきているのが、ホットプレス材である。例えばホンダは、2011年11月発売の軽自動車「N BOX」で、センターピラー*1の補強部材に日本国内向けのホンダ車として初めて同材を採用した(図1)。その軽量化効果は、2kgという。

図1●日本国内向けのホンダ車として初めてホットプレス材を採用したホンダの軽自動車「N BOX」
センターピラーの補強部材にホットプレス材を使う。
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*1 センターピラー 前部座席と後部座席のそれぞれのドアの間にある支柱のこと。

 ホンダは、N BOX以外の国内向けホンダ車にも、ホットプレス材の採用を広げている。2012年11月発売の軽自動車「N-ONE」や2013年6月21日発売の新型ハイブリッド車「アコード ハイブリッド」などだ。N-ONEではセンターピラーの補強部材に、アコード ハイブリッドではセンターピラーの補強部材とサイドシル*2の一部に同材を使い、車体の軽量化に役立てた(図2)。

図2●センターピラーの補強部材とサイドシルの一部にホットプレス材を採用したホンダの新型ハイブリッド車「アコード ハイブリッド」
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*2 サイドシル 前部座席と後部座席のそれぞれのドアの真下にある敷居のようなフレームのこと。

 マツダも、ホットプレス材の適用に積極的な自動車メーカーの1つだ。例えば同社では、2012年2月発売の新型SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)「CX-5」の、前後のバンパビーム*3にホットプレス材を採用している(図3)。使用したのは、強度が1800MPa級のホットプレス材。これほど高強度なホットプレス材の自動車への採用は、世界でも例がなかった。同社はこれにより、4.5kgの軽量化を図ったとしている。

図3●強度が1800MPa級のホットプレス材をバンパビームに採用したマツダの新型SUV「CX-5」
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*3 バンパビーム バンパの内側に設置して衝突時の車体の損傷を低減させる部材のこと。