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いつもの部屋で、いつものように

新分野を切り開いた熱い技術者魂の物語(第3話)

田野倉保雄
2013/07/30 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2003年3月17日号 、pp.179-181 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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「意外なほど,ネガティブな意見は出なかったなあ…」
畑野一良は,取りあえずホッとする。
各カンパニーのプレジデントなどを前に行ったプレゼンテーション。
超廉価カーナビの必要性や実現方法,新しいビジネス・モデルなど
畑野のアイデアはどうやら受け入れられたようだった。
だが,あまりにもすんなり行き過ぎたことが
逆に不安の念を呼び起こしていた。
畑野の足はある場所へと向かう。

あの人に聞いてみるしかない

 「君の発表内容は,現行のカーナビ事業と結び付いていないようにみえる。もっと現実的なことを考えた方がいいんじゃないのか」

 プレゼンテーション終了後の質疑応答の時に飛び出したコメント。これが畑野一良の頭に妙にこびり付いて離れない。

 考えてみると,確かに一理ある。皆に自分の構想を披露したはいいが,本当に超廉価カーナビを開発できるのか,ビジネス・モデルは間違っていないのか。もしかしたら,もっと手堅いことを目指した方が本当にいいのかもしれない…。熱く語った20分間のプレゼンテーションを終え,冷静ないつもの自分へ徐々に戻るほど,畑野の不安は大きく膨らんでいった。

清水敏彦(しみず・としひこ)氏
清水敏彦(しみず・としひこ)氏
1978年,パイオニアに入社。川越工場の部品技術課で,新規部品の承認業務を1年間担当する。その後,デジタル・オーディオやMOS型LSI,追記型光ディスク装置の開発(主に回路技術)に従事。研究企画部に異動し,カーナビやレーザーディスクの応用技術開発を担当する。川越技術研究所に異動後,業界初のGPS搭載市販カーナビの企画に参画。1989年からデジタル地図の編集システムの開発に携わる。2年後,関連事業部 事業開発室長に就任し,分社化の検討とデジタル地図の内製化に着手する。1994年5月にインクリメントPを設立し,代表取締役社長に就任。(写真:柳生貴也)

 「あっ,もしもし。あのー,畑野ですけど…」

 「おう,どうもどうも。元気?」

 「えー,まあ。ボチボチです」

 「そう」

 「そちらはどうですか」

 「こっちもボチボチかな…。で,何か?」

 「はい。実は,またちょっと聞いて頂きたい話がありまして…」

 「うん,うん」

 「今,いいですかねぇ,そちらに伺っても。時間はありますか」

 「えーっと。30分くらいなら,何とか大丈夫かな」

 「ぜひぜひお願いします」

 「なら,いつもの場所でいい?」

 「分かりました,すぐに伺います。いつもの場所ですね。じゃあ,よろしくお願いします」

 「了解」

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