そのスマ-トフォンにおいても、若干動きが出てきている。2013年の合計生産出荷量に関しては10億台程度の当初見通しをクリアできる可能性が高いものの、大手ブランドのハイエンド機種の動きが鈍くなりつつあり、「ハイエンド機種→ミドル・ロ-エンド機種」のシフト、ミックスの変化が進む可能性が出てきた。年初から足元までは、スマ-トフォン3位組(LG Electronics、ソニ-、中国Lenovo社、HTC社、中国ZTE社、中国Huawei Electronics社、フィンランドNokia社)およびその他の中小ブランドが、Apple不調の間隙をついてフラッグシップ機種の増産を続けている。さらに、Samsung Electronicsもフラッグシップ機種「Galaxy S4」を中心にスマ-トフォン生産・販売計画を引き上げていたことから、部品数量ベースではAppleの不調を十分に補える状況であった。

 しかし、4月末に発売された「Galaxy S4」が当初想定の売れ行きを下回っていることが、業界全体に波紋を呼んでいる。Galaxy S4は年初段階の生産販売計画が7000万台、その後1億台へ生産販売計画が引き上げられたと見られるが、現時点では7500万~8000万程度へ低下していると考えられる。部品数量ベースでは、8000万→1億1000万→8500万~9000万といったところ。上記のスマホ3位組はフラッグシップ機種の販売がせいぜい年1000万~1300万程度であり、1機種で7000万を超えるSamsung Electronics、Appleの影響は大きい。今後、販売数量、価格動向にはさらに細心の注意を払いたい。数量面では部品メ-カ-への影響が非常に大きいほか、価格動向はソニ-やLG Electronicsなど3位組への製品価格、収益への影響が大きくなるためである。一方、中国ブランドやホワイト・ボックス系は勢いを増してきており、こちらも併せて要注目である。

 タブレットPCでは、先月と比べて特段に大きな変化はない。ホワイトボックス系の増産、Acer社、Lenovoなどパソコン系ブランドの低価格機種投入、Samsung Electronicsの積極姿勢維持などから、部品数量ベ-スではAppleの不調をカバ-して2月時点の想定比でもプラスとなっている。台湾でも、受動部品、プリント基板、ファウンドリ後工程などで、数量増による売上回復が見えつつある企業が出てきている。ただし、ホワイトボックス系の増産基調はいつ反転するか分からず留意が必要。これらは大半が中国メ-カ-であり、中国生産、中国国内および新興国へ輸出している。新興国におけるスマ-トフォン、タブレットの普及がまだ初期段階であることから、短期間で勢いがなくなるリスクは低いであろうが、一本調子での増勢が続くかはやや疑問である。