半導体関連の4つのサイト、「半導体デバイス」、「半導体製造」、「EDA」、「アナログ」に投稿の全記事(日経BP半導体リサーチ記事を含む)を対象に、直近4週間(2013年6月3日~6月30日)でアクセス数が多かった20本を紹介する。最も読まれた記事は、半導体プロセスの基本を解説した講座記事だった。
この記事は、講座「半導体プロセスの基礎」の第1回目で、タイトルは「半導体デバイスのできるまで」だった。全16ページの大型記事だったが、多くの方に読んでいただいた(2回目以降は「日経BP半導体リサーチ」会員限定記事)。やはり、なにごとも基本は大切ということだろう。
次に読まれたのは、ルネサス エレクトロニクスのパッケージ設計技術を紹介した記事だった。パッケージは半導体に欠かせない要素だが、どちらかというと地味な技術と言えるだろう。しかし、数ある半導体関連ニュースの中でこの記事がよく読まれたのは、基本が大切と考えている読者が多いことの表れとみられる。今回のルネサスの技術は、パッケージの寄生成分を利用することで、コストを増やさずに信号劣化を低減できることが特徴である。すでに多数の製品にこの技術が適用されている。今回は、より高い信号周波数が扱えるように技術を拡張した。
この技術の中には「伝送線路長をそろえる」という手法が含まれるが、これがこの技術の知的財産権を守ることに一役買っているという。伝送線路長をそろえるために、配線パターンが扇形の独特の形状を示す。他社の製品でこのパターンになっていれば、ルネサスの技術が(勝手に)使われている恐れがある。ただし、今のところは、「そうした扇形のパターン形状を他社製品で見たことがない」(ルネサス)とのことだった。
3位にランクインしたのは、国際会議「2013 Symposia on VLSI Technology and Circuits」発の記事だった。そのタイトルは「東芝、サンプル出荷を間近に控える3次元NAND「BiCS」について講演」である。BiCSは同社の半導体事業の中核を担うフラッシュ・メモリの次期技術で、メモリ・セルを3次元方向に多段積層する。これで、メモリ容量の増加のトレンドを維持する。記事によれば、BiCSのNANDフラッシュ・メモリのサンプル出荷は、2013年内に始まるという。
今回のSymposia on VLSI Technology and Circuitsは京都開催だったせいか、多くの記事がよく読まれた。この3位の記事だけでなく、6位に韓国Samsung Electronics社の基調講演の記事、12位にルネサスのCMOSインバータのLSI配線内埋め込み技術など、20位以内に多くの記事が入った。
6月はSymposia on VLSI Technology and Circuitsだけではなく、半導体関連の主要な国際会議や展示会が多い季節である。今回のランキングでも、それが見て取れた。例えば、8位には、「COMPUTEX TAIPEI 2013」関連記事が入った。この記事では、COMPUTEX TAIPEIに合わせて、米Intel社が第4世代Coreプロセサ(開発コード名:Haswell)ファミリを発表したことなどを報じている。
EDA関連で最大のイベントDAC(Design Automation Conference)も6月開催だった。今回のランキングでは、11位にSamsungによる基調講演を紹介した記事、14位に「Management Day」の講演を紹介した記事、Management DayはIC設計のプロジェクト・マネージャをターゲットにしたDACのセッションである。今年は4社が講演した。