ビッグデータの覇者たち、海部美知著、798円(税込)、新書、216ページ、講談社、2013年4月
ビッグデータの覇者たち、海部美知著、798円(税込)、新書、216ページ、講談社、2013年4月
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 これだけのデータ容量と上昇し続けるCPU能力があれば、大量のデータをす早く処理して、ものすごく役に立つ結果を出せるようになるに違いない。それが「ビッグデータ」が期待される理由だ。

 著者の大まかな分類によると、データは2種類に分けられる。主に機械が発する「無機的データ」と、人が作る「有機的データ」だ。天気予報のために集められる観測データが「無機的データ」の代表格で、ツイッターのつぶやきやフェイスブックへの投稿など、人間が発する情報が「有機的データ」なのだが、海部氏の定義では、「無機的データ」に見えるデータでもプライバシー問題に直結するデータ(たとえば、監視カメラの映像)は「有機的データ」に入るという。

 グーグル、アマゾン、フェイスブックなどは、この「有機的データ」をうまく活用したからこそ、ウェブ2.0の成功者となった。

 有機的データを活用してユーザーと広告主をうまくマッチングさせたので、広告スペースが高く売れる。高い広告料を払えるまともな企業が広告を出し、少ないスペースで売り上げが立つので広告領域も小さくできる。

 有機的データを使いこなせなかったサイトは、これと逆の悪循環が発生する。ページ当たりの訪問者が少ないので広告料を低くせざるを得ず、広告料が低いからスパム広告ばかり並ぶ。質の低い広告がページ中に貼りつけられ、コンテンツよりも目立つようになると、良い記事を書いていたユーザーも他のサイトに移ってしまう。