「ディスプレイ」サイトで、2013年6月26日までの1カ月間に最も読まれた20本の記事を見ると、読者の材料への関心の高さがうかがえる。トップはIGZOに関する記事。「IGZO」は、酸化物材料(InGaZnO)の略称として使われることが多かったが、その後にシャープの商標として登録されたことを紹介している。記事にある通り、ディスプレイにさまざまな利点をもたらすInGaZnO材料が、シャープの事業を左右するほどに大きな影響力を持っている。同時に同社は「IGZO」をスマートフォンなどにおける独自の差異化技術であることをアピールしている。
2位と3位にもInGaZnOなど酸化物半導体材料に触れた記事だった。有機ELなど新規技術に触れるとともに「既存技術である液晶の絶え間ない進化」に着目している。液晶ディスプレイは、液晶材料、フィルタ、バックライト、駆動回路など多様な要素で構成しており、それぞれの継続的な改良が進化を生み出している。長年にわたってディスプレイ業界を見てきた著者は、「SID」というディスプレイ最大の学会が「技術発展の連続性」をつくる場となっており、それがSIDに人を惹きつけている、と主張する。
4位、5位、8位には、有機ELの「曲げられる」という特性を生かしたディスプレイに関する記事がランクインした。このうち5位の記事は、韓国LG Electronics社が55型曲面有機ELテレビを出荷したという内容だ。6月27日には、韓国Samsung Electronics社が有機ELテレビ「カーブドOLED TV」を発売した(関連記事)。いずれも価格は同じ1500万ウォンである。両社が一般的な平面テレビよりも先に曲面テレビを発売するのは、前述した「液晶の絶え間ない進化」を前に、有機ELによる差異化が難しくなっているからかもしれない。