新ビジネスの産みの苦しみ。

 Tech-On!のテーマサイト「クルマ」のこの1カ月間(2013年5月28日~6月24日)は、日本メーカーが直面する新しい壁を象徴する記事に関心が集まりました。

 アクセス・ランキングの3位に入った「パナソニック自動車戦略の成否」。『日経Automotive Technology』の清水直茂記者が、パナソニックの自動車関連事業について分析した力作です。

 2期連続で7000億円を超える巨額の赤字を計上したパナソニックにとって、自動車関連分野は反転攻勢に向けた成長戦略の中核事業の一つ。5年後の2018年に現在の2倍に当たる売上高2兆円を目指しています。

 ただ、自動車分野は参入障壁が高く、なかなか扉をこじ開けられない。それでも、清水記者は、「パナソニックが自動車分野でのし上がる力は十分にある」と指摘しています。パナソニックの弱点は明白だと。そこを克服できれば、勝機はあるのではないかと分析しています。

本気度を問う厳しいコメント

 「パナソニックの弱点」とは何か。詳しくは清水記者の記事を読んでいただくとして、かなりはしょって簡単に説明すればある一つの技術が自動車関連事業で攻勢をかけるパズルのピースとして足りないということです。

 この記事に投稿された読者コメントは、パナソニックの取り組みに厳しい視線を浴びせています。

 「Panasonicの自動車戦略は、株式市場から成長戦略を問われての窮余の反応としか見えません。いくら自動車がエレクトロニクス化していると言っても自動車の要求する信頼性は一般エレクトロニクスの比ではありませんし、ビジネススタイルも異なります。<中略> 本気ならば別会社化し芯からのティア1となるしかないでしょう。<後略>

 「Automotive部門もリストラをしていますが、ビジネスを続けるのかなあ。実績のあるメーカーしか採用しない日本のクルマ会社にアプローチしても難しい。ホンダエレシス、富士通テンのようにクルマ会社関連との合弁で系列かしないと日本メーカーへのこれ以上の参入はかなり困難。電気、電子のエンジニアが少ない、車載向け会社と合弁して、独立しないと。

 二つの読者コメントに共通するキーワードの一つは「本気度」でしょう。どれだけ本気で自動車事業をやるつもりがあるのか。その点への疑問が投げ掛けられています。

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