この2、3年、「米Apple社がそろそろ『iTV』を出す」といったニュースが絶えない。しかし、現在でも、iTVがいつ披露されるか分かっていない。

 こんな中で、日本の大型連休が終わったばかりの2013年5月7日、中国のテレビやインターネット業界に衝撃が走った。中国のインターネット動画サイトである楽視網が、「超級電視」(超級とは「普通を超える」、電視とはテレビという意味。以下、スーパーテレビ)を発表したのだ。「テレビを再定義した」と訴えたこのスーパーテレビは、中国のメディアの注目を集めた。楽視網の株価も急上昇した。

 スーパーテレビは一体どんなものか、本当にテレビを再定義したものか、この注目度の高さは何を反映したものなのか--今回は、これらの点について探ってみる。

楽視網はどんな会社

 楽視網は、中国に多数あるインターネット動画サイトの中の1つだ。インターネット動画サイトがブームとなった10年ほど前に、プライベート・エクイティ・ファンド、いわゆる複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金で2004年に創られた民営会社だ。

 動画サイトの激しい競争の中で、多額の資金力を武器に、正規版の中国の人気映画やドラマを購入。“正規版+有料+無料”という経営方針で、インターネット業界の最大の映像コンテンツ・プロバイダーへと成長を遂げた。9万回分のテレビドラマ、5000タイトルの映画、近年の人気コンテンツの6割以上を持っているという。

 このような膨大なコンテンツを生かし、近年はセット・トップ・ボックス(STB)などのハードウエア事業にも参入している。そして、2013年、ついに自社ブランドのテレビの販売に乗り出した。