正規雇用者と非正規雇用者の待遇格差を縮小へ

 少子化の進む中で女性の労働市場への参加の必要性が言われて久しいが、日本の女性労働参加率が30代前半で低下し、その後上昇するM字カーブは徐々に薄れる傾向にある(図4)。

図4 年齢階級別女性労働力人口比率の推移
[画像のクリックで拡大表示]

 家計調査(勤労世帯)でも足元は世帯主の賃金もようやく増加してきたが、女性の就業者の増加を背景に世帯主・配偶者(男性)の収入減を世帯主・配偶者(女性)の増が補う状況が続いている(図5)。

図5 家計実収入の推移(勤労世帯)
[画像のクリックで拡大表示]

 ただ、女性労働者の過半はパートを中心とする非正規雇用者で、労働参加率の上昇だけでは女性の能力の活用が進んでいるとは言い難い。日本の全上場企業3,543社の役員数(取締役及び監査役)の39,624人のうち、女性役員がいる企業は524社(14.8%)、女性役員数はわずか630人(1.6%)(東洋経済「役員四季報20013年度版」)というのは、どう見ても少ない。

 育児休業の長期化や保育所待機児童問題の解決など環境整備は必要だが、国際的にみても大きい正規雇用者と非正規雇用者の待遇の格差の縮小や、正社員の長時間労働の是正、職種や労働時間などを限定する両者の中間的な雇用形態、ワークシェアリングやフレックスの活用を高めるなど、多様な労働形態を容認する正社員制度の普及など、企業、雇用者双方にプラスとなる雇用制度改革に取り組むことは避けられない課題である。