新製品投入でも余談許さず

 本体組立に使用される部品の多くは、6月末までに一定水準の在庫がEMS工場に部品メーカー在庫として準備される。問題は、EMSが計画通り生産を始めないと、実際の部品の売上が立たず、7月以降の部品納入がその分減少してしまう。3Qには部品ベースで5000万~6000万枚、製品ベースで4500万~5000万台の生産が行われる可能性があると見てきた。しかしパネルや部品の量産、出荷増のタイミングが後ろ倒しになり気味であることを考慮すると、3Q数量が想定を下回るリスクはあろう。

 また、次機種(iPhone5S)とローコスト機種(もしくは新興国向け仕様機種)には現在のiPhone5と同じ4インチ(1136×640ドット)を採用するとみており、当該ローコスト機種は新しいローエンド機種というよりiPhone5の派生機種(コストダウン・バージョン)の位置づけになる可能性が高い。したがって、ローコスト機種投入の場合も需要の大幅増(例えばiPhone5に対して倍増)は見込みにくいとみている。

 iPhone5Sも外観、パネルやカメラモジュールは現機種を踏襲、主なアップグレードはソフトウェアやAP(アプリケーション・プロセサ)、NFC(near field communication)や指紋認証機能などと見ており、パネルサイズや解像度、カメラ機能で競合他社に(Galaxy S4はソニー製1300万画素CMOSセンサー採用)劣っていることを考えると、iPhone5Sが大ヒットとなるかは予断を許さない。