エレクトロニクス産業全体では厳しい事業環境が続く

 ファウンドリ前工程はTSMCの先端プロセス(28nm)の需要好調、LEDはTVバックライト向けと照明向けの需要拡大が背景である。最終製品を見ると好調なのは一部ブランド(韓国Samsung Electronics社、韓国LG Electronics社、ソニーや中国ブランド、ホワイト・ボックス)のスマートフォン、タブレットくらいである。PC関連、フィーチャーフォン、ゲーム機器、DSC(コンパクト+DSLR)などはむしろ想定より悪い。フラットパネルテレビ、白物家電、複写機やプリンタ、車載関連も想定線の域を出ておらず、エレクトロニクス産業全体では厳しい事業環境が続いていると言えよう。

 しかし、足元ではスマートフォンが3位組(LG Electronics、ソニー、中国Lenovo社、台湾HTC社、中国ZTE社、中国Huawei Technologies社、フィンランドNokia社)及びその他の中小ブランドが、Apple不調の間隙をついて増産を続けているほか、タブレットでもホワイト・ボックス系が増産を続けている。一方で、台湾Acer社、LenovoなどPC系ブランドで低価格機種の投入が始まっており、部品数量ベースではAppleの不調をカバーしてプラスに転じる水準に増加してきたと見られる。

 台湾でも、受動部品、PCB、ファウンドリ後工程などで、数量増による売上回復が見えつつある企業が出てきている。ただし、ホワイト・ボックス系の増産基調はいつ反転するか分からず留意が必要。これらは大半が中国メーカーであり、中国生産、中国国内及び新興国への輸出を行っている。新興国におけるスマートフォン、タブレットの普及がまだ初期段階であることから、短期間で勢いがなくなるリスクは低いであろうが、一本調子での増勢が続くかはやや疑問である。