2011年11月に車載電子システムの機能安全規格「ISO 26262」が正式発行して1年半が経過し、ここにきて、国内自動車部品メーカーで、対応への動きが活発化しています。これまでも大手部品メーカーは、パイロットプロジェクトの試行などを通じて、対応への準備を進めてきましたが、ここに来て、完成車メーカーからの要求仕様に、ISO 26262への対応が正式に盛り込まれ始めており、全社への展開や、取引先への展開など、本格的な対応が求められてきています。

 例えば 自動車業界のソフトウエアの標準化などを手がける社団法人「JASPAR(Japan Automotive Software Platform and Architecture)」は2013年2月、「機能安全Workshop」を開催し、同法人が取り組んでいる、ISO 26262の取得をサポートする活動について紹介しました。具体的な内容は、規格が何を求めているのかなどを解説した解説書の整備、空欄を埋めることでISO 26262が要求する文書を作成できるテンプレートと記入ガイド、チェックリストの整備――などです。

 ISO 26262への対応が本格化する中で、規格が何を求めているのかよく分からない、文書として何をどこまで作成すればよいのか分からないといった声が業界内で高まっているのに応えたものです。

 一方、ISO 26262への対応で導入が必須とされる文書管理ツールでは、これまで海外のツールベンダーの製品が主に使われてきましたが、富士通は、ISO 26262に準拠した文書管理ツール「PLEMIA M3/SQ-Tracer V2」を2月に発売、さらに4月には同ツールが日本品質保証機構(JQA)からISO 26262に適合しているという第三者認証を取得したと発表しました(関連記事)。後発となる同社は、国内企業での使い勝手に特に配慮して同ツールを開発したとしており、引き合いも活発のようです。このように、国内でのISO 26262への対応活動は、現在まさに現場で本格化しているといえる状況にあります。

 ISO 26262への対応で、特に多くのリソースを必要とし、社内の仕事の進め方を見なおさなければならないのが、ソフトウエアの開発プロセスです。日経Automotive Technologyは、ISO 26262の分野で多くのコンサルティング経験を積んでいるビジネスキューブ・アンド・パートナーズの協力を得て、6月18日に「ISO 26262 実践ガイドブック(ソフトウエア開発編)」を出版します。ソフトウエア開発プロセスにおいて、ISO 26262に対応するためには何が必要かを、体系的に学べる解説書となっています。

 さらに、このガイドブックを発行する6月18日に、同ガイドブックをテキストに使用したセミナーを実施します。同ガイドブックの執筆にあたった同社の田渕一成氏が、ISO 26262 に対応したソフトウエア開発プロセスについて、ソフトウエアのアーキテクチャ設計やソフトウエアユニット設計、ソフトウエアユニットのテストや、ソフトウエア統合テストの手法などを、分かりやすく解説します。ぜひご参加ください。