――機能の議論も含めて開発チーム内では、どのようにコミュニケーションをしているのですか。

伊勢 全員が顔を合わせる機会は、1カ月に1回くらいでしょうか。基本は、オンラインでのコミュニケーションが中心です。

 あまり会わないので、チームのゴール設定と方向性を定めるための資料はきちんと作り、その中ではサービスが成功した姿をイメージできるようにしています。企画、技術、デザインなどプロジェクトに携わる全員が同じ成功のイメージを共有できるようにするためです。

――成功のイメージというと、予算や売り上げなどの将来計画をしっかりと立てるような印象を持ちますが。

伊勢 そうではありません。事業計画自体は、ガチガチに固くはつくりません。だって、計画通りに進まないことが多いでしょう? 計画に縛られすぎて達成できない場合には、チームの士気が下がることもありますから。

 プロジェクトでは「計画」ではなく、「予測」と呼ぶことにしています。といっても、全く無計画なのではなくて、計画のパターンを多めに考えて選択肢をたくさん持てるようにしたいと思っているんです。

――チームの中で、リーダーの役割とは何でしょう。

伊勢 「今日やらなくていいことは、明日やる」というのが運営のキーワードです。リーダーの役割は計画を立てて、メンバーがやりきれない穴の部分を埋めていくことではないでしょうか。ゴールをメンバーに示して、楽しくメンバーを目的地に連れていくことが大切です。

(この項、終わり)