――スピード感が大切ということですね。

伊勢 普通に会社を大きく育てようと考えているならば、社外の人材を集めるチームづくりの手法は採用しないと思います。社内の人材を育てて事業を進めた方が、事業継続のためには効率的と考えるからです。

 でも、スピード感を得るには、やはり社外の人材とチームをつくって開発を進める方が効率がいい。社内にも刺激になります。最終的な目標は、世の中に価値を提供すること。それが実現できれば、サービスで得た利益は一緒に開発したパートナーとシェアすればいいと思っているんです。 

――アプリ版ボケての企画を考える際に、注意したことは何ですか。

伊勢 「アプリ版はパソコン版とは別もの」ということです。とにかく、アプリ版は機能をシンプルにしようと考えました。

 企画書を考えた段階で、想定されることはある程度網羅できたと思います。アプリを公開してから振り返っても、あまりポイントは外していなかったですね。

――ポイントを外さなかった理由は。

伊勢 ハロを創業してから開発したサービスで、2回連続でうまくいかなかったんです。それが練習になりました。

 スポーツと一緒で、練習すると打率が上がります。打率10割は難しいかもしれませんが、3割はいけるんじゃないかと思えるようになりました。世の中でどんなものが売れているか、どんなユーザーがそれを使っているかをより常に観察するようになりましたね。

 アプリ版ボケてを企画する前、2012年初めには、世の中では「アプリは数打ちゃ当たる」だと、どんどん作って公開していくことが大切と言われていました。でも、それは違うだろうと思っていたんです。プロだったら、しっかりとした企画を練って、きちんと計画して狙って当てる必要があると。