コアユーザーの囲い込みがカギ

 ボケての運営も、初めから爆発的なヒットにつなげられたわけではありません。前述したように、2012年秋以降のスマホ向けのアプリ投入が飛躍につながりました。それまで我慢して、ほぼ4年もの間、当初の軸をぶらすことなく地道にサービスを継続し続けたことが飛躍の土台を形づくったのです。

 ボケては、2008年9月にパソコン向けのWebサービスを始めた当初、コアな「お笑い好き」の人々を中心に初期ユーザーを獲得しました。開始半年後には、出版社が「ボケて」を特集した書籍を販売し注目を集めています。

 その後、ボケを多く投稿するユーザー(後に「ボケ職人」と呼ぶようになります)を対象にしたユーザーの集いなどを定期的に開催。地道なコアユーザーの支持獲得とサービス改善、メンテナンスを行いました。2009年5月にはγ(ガンマ)版のサービスをリリースし、バーション・アップをしています。

ボケての「ボケ」累計投稿数の推移。
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 こうした地道なサービス運営によって、ボケの投稿総数は着実に増えていきます。それは、サービス当初からのボケ投稿総数の推移を見ると明らかです。2009年1月には40万件、同年9月には82万件、2010年2月には100万件に到達しました。

 ユーザーと同じ目線、立ち位置で、毎日サービスを見てくれるようなコアユーザーを囲い込んでいく。ユーザー投稿型のサービスという特色上、このサービス運営の方法論はとても重要なポイントでしょう。コアユーザーの存在がその周辺にいるユーザーを巻き込み、結果的にユーザー数とコンテンツ数の増加をもたらすことにつながるからです。

 なかなかユーザーが増えない状態が続くと、どうしてもサービスの方向性を変えてみようという誘惑に負けてしまいがち。それをグッとこらえて、地道な運営を続けることはそう簡単ではありません。もちろん、何も変えないのではなく、ユーザー目線での改良は必要です。ただ、そのときも根本的な軸は変えないという点が重要なのでしょう。