当りはずれが多いと言われるスマートフォン(スマホ)向けのアプリケーション・ソフトウエア(以下、アプリ)。新しいアプリがこの世に生を受けては消えていくことは日常茶飯事です。

 もちろん、そんな生き馬の目を抜くアプリ業界でも、多くのユーザーの支持を受け、人気を呼び、着実にユーザーの心をつかんでいるアプリが存在しています。

 人気・不人気の境界には何があるのか。今回は、ある人気アプリの開発プロセスを題材に、製品やサービスをヒットにつなげる秘訣を探っていきたいと思います。

公開4カ月でアプリユーザーが100万人突破

アプリ版ボケての画面イメージ。お題の写真と、それにつけられた「ボケ」を楽しむ。

 今回紹介するのは、「ボケて(bokete)」という無料アプリです。2012年10月に「iOS」向け、同年12月には「Android」向けにアプリの配信を開始。2013年2月初めには累計で100万本のインストール数を突破した話題の人気アプリです。その後もインストール数は伸び続け、2013年5月時点では150万人以上のユーザーが利用しています。

 アプリ業界で100万本というインストール数は、ヒットしているかどうかを判断する指標の一つ、いわゆるマジック・ナンバーです。無料アプリであっても、広告や企業とのコラボ企画といった収益化の道筋が見えてくる数字になっています。星の数ほどの無数のアプリがある中で、どうすれば100万インストールの壁をぶち破ることができるのか。「ボケて」は、他のアプリと何が違ったのでしょうか。

 まず、ボケてというアプリが、いったいどんなサービスなのかをひも解いていきましょう。

 ボケては、ひとことで言うと、写真と、それにつけられた「ボケ」の言葉を楽しむWebサービスです。写真もボケも、ユーザーが投稿します。いわゆるユーザー投稿型のWebサービスです。

 誰かがお題として投稿した写真を見て、他の誰かがボケの言葉を投稿する。その写真とボケを組み合わせたネタを評価するのもユーザーです。内容が面白ければ、日々のランキングに入り、その中でも特に人気のネタはサイト内で殿堂入りします。