パナソニックの津賀社長がCESでプレゼンをする様子。自動車分野に力を注ぐ方針を示した。
パナソニックの津賀社長がCESでプレゼンをする様子。自動車分野に力を注ぐ方針を示した。
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 最近興味深く見ているのがパナソニックの戦略です。同社は今後の成長戦略で自動車分野を中核の一つに置き、2018年に同分野で現状の約2倍である2兆円規模の売り上げを目指すとしました(Tech-On!関連記事)。同社社長の津賀一宏氏は、自動車事業を手掛けるオートモーティブシステムズ社(当時)で社長を務めた経験もあります。

 巨大メーカーのパナソニックですが、自動車分野への参入障壁は高く、その成否に疑問を呈する声があるのも事実です。ただ、私はパナソニックが自動車分野でのし上がる力は十分にあると見ます。大きな弱点を抱えている一方で、現時点でそれなりに強い領域を多く持つからです。

 少し前になりますが、名古屋学院大学商学部の佐伯靖雄氏に、「電子化・電動化で崩れるケイレツ」と題した解説記事を「日経Automotive Technology」誌に寄稿していただきました。クルマの電子化と電動化に関わる部品をどのメーカーが手掛けているのか、国内市場を対象にして網羅的に調べて分析したものです。

 佐伯氏は(1)センサ、(2)電子制御ユニット(ECU)、(3)アクチュエータの3分野に分けて参入しているメーカーをまとめました。結果を見ると、デンソーと日立グループの日立オートモティブシステムズ(日立AS)、三菱電機の3強にパナソニックを加えた「3強+1」と言える状況でした。

弱点は明白

 (1)のセンサ分野の全42部品のうちデンソーが24部品、ドイツBosch社が17部品、日立ASが16部品、三菱電機が14部品。それに続くのがパナソニックで、10部品でした。一方でホンダ系をはじめとした上記以外のメーカーは5部品程度にとどまります。パナソニックは上位メーカーにまだまだ及びませんが、ホンダ系に勝り、十分に戦える位置に付けています。

 (2)のECU分野は全39部品のうち、デンソーが31部品と9割近くに参入して圧倒的。次いで日立ASが22部品、三菱電機が18部品、ホンダエレシスが14部品、富士通テンが12部品。その後にパナソニックで10部品。まずまずの位置と言えるでしょう。

 弱点は明白で、(3)のアクチュエータ分野です。全40部品のうち、パナソニックは全くと言っていいほど参入できていません。とはいえ、同分野は(1)と(2)とは異なり、3強メーカーですら苦戦気味。デンソーがもちろん強いのですが、全40部品のうち14部品への参入にとどまります。子会社のアスモを加えても18部品で過半に達しません。日立ASも13部品。三菱電機は7部品に過ぎません。