パナソニックの津賀社長がCESでプレゼンをする様子。自動車分野に力を注ぐ方針を示した。
パナソニックの津賀社長がCESでプレゼンをする様子。自動車分野に力を注ぐ方針を示した。
[画像のクリックで拡大表示]

 自動車分野で長年にわたって電子技術を手掛けてきたメーカーですら、機械部品の比重が高いアクチュエータの開発には手こずっているのが実情。それでもパナソニックが本格的に自動車分野に挑むというのであれば、アクチュエータ分野を手掛けない選択肢はあり得ません。

既存メーカーにない発想を

 どうするのか。家電機器のアクチュエータ開発に長い経験があるので、自社で手掛けるのも一案。ただし、パナソニックはその手段を積極的に選ばないようです。2013年1月の「International CES 2013」で、同社は車載インバータ事業に参入すると発表しましたが、アクチュエータ部品の代表と言える駆動用モータは他社製にするとしました(Tech-On!関連記事)。

 家電機器のモータと「電力の大きさや求められる信頼性などの点で自動車を駆動するモータは全く別モノ」(パナソニック)と、冷静に自社の実力を分析した結果です。となれば2018年までのわずか5年で売り上げを2倍にするという目標を達成するには、提携なり買収なりして他社の力を活用すると考えていると見るのが自然でしょう。

 お手本はドイツContinental社でしょうか。同社はもともとタイヤメーカーでありながら、Alfred Teves社やMotrola社の自動車部門などを買収して世界有数の部品メーカーに成長しました。

 今年は東京モーターショーの開催年に当たります。CESで津賀社長は約1時間に及ぶプレゼンテーションの中で自動車分野に力を注ぐ方針を示しました。ただし家電機器の展示会であるCESはあくまでも自らの土俵と言える場所。今度はモーターショーという今後のライバルメーカーがひしめく他人の土俵の中で、新しい技術や戦略の発表に期待したいところです。

 私がパナソニックに特に期待するのが、世界の消費者のニーズをいち早く捉えた新しい提案です。同社は家電メーカーとして最終製品を長年売っており、新興国市場を含めた多くの消費者と接点を持っています。家電機器と自動車の消費者は重なる部分は多いはず。その強みを生かせば、既存の自動車部品メーカーにはない発想や視点から技術を生み出せるはずです。