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 変化の激しい代替エネルギー市場が、かつては安定していたパワー・エレクトロニクス・ビジネスに揺さぶりをかけた。そして、ハイブリッド車(HEV)と電気自動車(EV)の市場の巨大な潜在的規模が、さらなる変化をもたらすだろう。HEVやEVが、より大きなパワーと高い熱を扱える技術を必要としているからである。その潜在的市場規模が、様々なビジネス・モデルをもった新規参入企業を引きつけているため、より多くの技術が登場し、おそらくコストも下がることになる。

 パワー・モジュールのパッケージ市場は、現在のところ約8億米ドルの規模で、今後も安定的に成長する。29億米ドルのパワー・デバイス市場は、今後5年間で42億米ドルに成長すると見込まれている。ハイパワー半導体は、これまでは年率4~6%で成長する安定した市場だった。しかし、2012年に売り上げは20~25%に落ち込んだ。中国で風力発電と電車への需要が急に落ち込み、世界中で太陽光発電の導入に関する政府の奨励策がストップし、さらに景気低迷で工場への投資が減ったためだ。たまたま悪いことが重なっただけで、今後は年率4~6%の安定した成長軌道に戻っていくはずだ。

 この市場がHEV向けとEV向けに占める割合が増えることによって、今後大きな変化が起こるだろう。HEV/EV向けパワー・モジュールの売り上げは2020年までに25億米ドル、つまり市場の約半分に達し、パワー・モジュール製品単体としては初めて民生機器向け並みで出荷されるだろう。この結果、パワー半導体のパッケージングと組み立てビジネスは、既存の半導体のサプライヤと組み立て企業にとって、より魅力的なものになるかもしれない。