設計力向上 開発手法と支援ツールの動向・事例
 

機構解析ツール

柔らかく微妙な動きの再現を通して 駆動系の部品選択の検討も容易に

木崎 健太郎=日経ものづくり
2013/06/03 00:00
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 自動車の駆動機構やプリンタの紙送り機構などを、動く部品(リンク)、関節や摺しゅうどう動部(ジョイント)でモデル化し、コンピュータ上で挙動を計算するのが機構解析だ(一覧表)。通常は複数の部品から成る機構を解析の対象とし、運動方程式(微分方程式)を数値積分して挙動を求めていく。

 機構解析が始まったばかりの頃は、リンクは変形しないもの、つまり剛体であるという前提だった。従って、変形を伴う機構の解析には、有限要素法による構造解析を使わざるを得ず、非常に多くの計算時間を必要としていた。最近は有限要素法の仕組みを一部取り入れるなどの機能強化により、機構解析ツールでもばねのように変形する部品があったり、振動が生じたりする場合の計算が可能になってきている(図1)。

図1●機構解析のカバー範囲が拡大
複数の部品から構成される機構の挙動を解析する際、柔軟物がある場合や振動を伴う場合は、以前は構造解析を使わざるを得なかった。ここに来て機構解析がカバー範囲を徐々に広げている。
[画像のクリックで拡大表示]
一覧表●機構解析ツールの例
製品名 開発会社 概要 連絡先(URL)
Adams 米MSC Software社 輸送機器の機構の挙動を解析することを目的に開発された。最近は歯車やベルトといった駆動部品のモデルを既成品として用意し、これらの組み合わせによってユーザーが車両試験環境などを容易に再現できるようにしている。 エムエスシーソフトウェア
ANSYS Rigid Body Dynamics 米Ansys社 構造解析やマルチフィジックス解析のモジュールと連携して動作する、「ANSYS Workbench」(複数の解析機能を共通の画面から操作できるようにした“統合操作環境”)上のアドオンモジュール。剛体用。 アンシス・ジャパン
DAFUL 韓国VirtualMotion社 直接積分法による構造解析と緊密に組み合わせたツール。大変形を伴う解析やさまざまな非線形材料の解析を容易にした。高速で大きな移動や回転のある機構の解析計算が安定。 伊藤忠テクノソリューションズ
Dynamic Designer Motion 米Design Simulation Technologies社 3D-CAD「Inventor」(米Autodesk社)、「Solid Edge」(米Siemens PLM Software社)に組み込んで使うツールで、これらのCADのモデルを解析対象とする。ソルバはAdamsと同等。 構造計画研究所
FEDEM ノルウェーFedem Technology社 有限要素法をベースとしており、弾性体を考慮した解析が可能。剛体での計算と弾性変形の計算を同一モデルに対して一括して実行する。 デジタルソリューション
LMS Virtual.Lab Motion ベルギーLMS International社 Adamsと同時期(1980年代)に開発された商用ツール「DADS」と3D-CAD「CATIA V5」を組み合わせ、複数の物体からなる機構モデル作成と解析計算実行をカバーできるようにしたツール。 エルエムエスジャパン
MBDyn イタリア・ミラノ工科大学 研究用のフリーソフトで、コマンドラインからのコマンド打ち込みで動作する。 フリーソフト
NX Motion Simulation 米Siemens PLM Software社 3D-CAD「NX」の機構解析機能。ソルバに「RecurDyn」を用いており、「NX Nastran」との連携で部品変形を伴う機構の解析が可能。 シーメンスPLMソフトウェア
RecurDyn 韓国FunctionBay社 機構と構造を一括して計算するソルバを備え、部品の変形を含めた計算が可能。運動方程式の定式化の方式を工夫することで高速化。直観的に使えるようユーザー・インタフェースに配慮している。 ファンクションベイ
SIMPACK ドイツSIMPACK社 解析モデル作成時に3D形状表示と、機構を構成する要素間の関係を表した2Dのブロック図表示を切り替えながら作業できる。RecurDyn同様の工夫で計算を高速化。 シムパックジャパン
Working Model 2D 米Design Simulation Technologies社 機構を表す2Dの図形に対して動きやモーメント、トルクなどを計算する。主に構想設計段階を想定。図形はDXF(Drawing Interchange File)などで読み込み可能。 構造計画研究所
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