【図1】「ものづくり塾『Quick DRを始めよう』」の座学の様子。
【図1】「ものづくり塾『Quick DRを始めよう』」の座学の様子。
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【図2】グループ演習の様子。変更点・変化点などを話し合いながら貼り出していった。
【図2】グループ演習の様子。変更点・変化点などを話し合いながら貼り出していった。
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【図3】演習の題材となった自動車部品。実物を手に取り、確認しながらの演習となった。
【図3】演習の題材となった自動車部品。実物を手に取り、確認しながらの演習となった。
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 「Quick DR」という言葉を私が初めて知ったのは約2年前。日本科学技術連盟主催の「信頼性・保全性シンポジウム」で講演する日産自動車に事前取材させていただいたときです。開発期間が限られる中、負荷を増やすことなくデザインレビューを適用すべき項目の網羅性をいかに高めるか…。設計の変更点/変化点に着目して短時間で効率的に問題を発見し、解決するQuick DRの考え方は、非常に衝撃的でした。

 2012年2月には日科技連出版社からQuick DRの書籍も発行され、改めて拝読すると、「この内容を『日経ものづくり』の読者に伝えたい」という思いがさらに強くなります。そして、取材時にもお会いした大島氏と奈良氏に原稿執筆を依頼し、実現したのが2013年1月号から4月号にかけて掲載した、連載講座「ものづくり塾・設計コース」の「Quick DRを始めよう」です(関連URL1、同2同3同4)。

 そのセミナー版として2013年4月19日、「ものづくり塾『Quick DRを始めよう』」を開催しました。実際の自動車部品を題材とした演習も交え、Quick DRのプロセスを体験していただこうというプログラムとしました。

 演習は7~8人のグループに分かれ、ある自動車部品(エンジン部品)の設計をテーマとして進めました。Quick DRの考え方に従って変更点/変化点を抽出し、それによってどのような不具合の発生が考えられるのか、をグループで話し合いながら書き出していきます。もちろん従来の設計とテーマとなった設計の仕様などの情報は伝えられますが、受講者は自動車部品に詳しいとは限らないので、その部品の現物を会場内に用意し、どのような構造かは手に取って確かめられます。

 演習では具体的な部品設計について変更点/変化点を抽出し、それによる影響を考えていくわけですが、講師の方々がグループごとの進行状況を見ながら、その進め方や考え方についてサポートします。講演者である大島氏と奈良氏に加え、日産自動車から2人のインストラクターを派遣していただくことで、きめ細やかな対応を実現できたと思っています。

 演習後の最後のセッションは「レビューアの役割と必要なスキル」というタイトル。「ティーチングとコーチングの違い」「傾聴力とは」など、設計者のやる気を高め、有効な改善策を引き出すにはどうすべきか、がテーマです。受講者からは、「レビューアの大切さを認識できた」「DRにコーチングが必要とは考えたことがなかったので、興味深かった」と非常に好評なセッションでした。デザインレビューに限らず、組織力を高めるという点で多くの管理者・指導者の参考になりそうだと、私自身も強く感じた内容でした。

 今回、前述のようにインストラクターを追加していただいたものの、演習のキャパが限られていたため、開催の約1週間前に満席となってしまいました。そこで、7月17日に追加開催することが決定いたしました。前回は参加できなかった方は是非、Quick DRの一端を体験してみてください。