テーマサイト「産業機器・部材」における今回(期間:2013年4月19日~5月23日)のアクセスランキングでは、新たなビジネス分野として注目される「宇宙」や「医療機器」に関連する記事が上位に入った。第1位の「宇宙基本計画」と第3位の「『下位カテゴリーの病院市場もターゲット』、拡大する中国の医療機器市場で日系メーカーに適した戦略」がそれだ。いずれも、市場拡大が期待されている分野に関するもので、新規ビジネスの開拓につながる情報へのニーズの高さがうかがえる。

アクセス記事ランキング(4/19~5/23)
産業機器・部材
1 宇宙基本計画
2 セルの落下による変形などが原因---三菱自動車、PHEVなどの電池トラブルの調査結果を発表
3 「下位カテゴリーの病院市場もターゲット」、拡大する中国の医療機器市場で日系メーカーに適した戦略
4 シャープが中期経営計画で打ち出した5つの新事業領域とは?
5 【人とくるま展】産総研と住友化学、夏季と冬季で太陽光の入射量を自動調節するシートを開発
6 【産業機器・部材】B787とアウトランダーPHEV、関心集めた電池の不具合調査
7 シャープ、電動工具メーカーのマキタと業務提携で基本合意、「異業種と積極的に組む」
8 【人とくるま展】NTN、軌道面の静的強度に優れる玉軸受を開発---自動車のデフやトランスミッション向け
9 NICTが大型太陽フレアを確認、今後2週間の太陽活動に注意
10 【MEDTEC】イノベーション大賞は瑞穂医科工業の「近赤外蛍光カラーカメラシステム」
11 【MEDTEC】アルプス電気、樹脂製のマイクロリアクタを参考出展
12 東京医科歯科大と東工大、内視鏡操作マニュピュレータを製品化へ
13 太陽誘電、静電容量270Fのシリンダ型Liイオンキャパシタを量産開始
14 山海 嘉之氏(サイバーダインCEO、筑波大学大学院 教授)<上>
15 アマダ、板金のあらゆる加工を1台で行える複合加工機などをプライベート展で展示
16 【MEDTEC】STマイクロ、米国で実用化している「ボディ・ゲートウエイ」を国内初披露
17 【INTERMOLD 2013】東芝機械、熱変形を抑えて誤差を従来機の約半分にした3軸マシニングセンタを開発
18 鹿島が福島原発に放射線防護エレベータ、有人作業に向ける
19 ユニプレスと新日鉄住金、生産性3倍の直水冷方式による熱間プレス工法を開発
20 【MEDTEC】川崎重工、医薬・医療向けに洗浄可能な垂直多関節ロボット

利用重視で宇宙関連の派生ビジネスが誕生

 例えば、宇宙関連では、海外市場、とりわけ東南アジアをはじめとした新興国で人工衛星に対する需要の高まりを見せている。予想される商用衛星の需要は、世界規模で年間30機。これが2020年に向けて数年間継続すると見られている。さらに、日本国内においても、日本の宇宙政策が開発重視から利用重視へと大きく軸足を移してきていることから、宇宙関連ビジネスの需要拡大が期待できる。

 利用拡大への転換を象徴している1つの例が、スマートフォン(スマホ)や携帯電話機で位置情報を取得するのに使っているGPS(全地球測位システム)に関連した取り組みだ。日本政府は、測位可能エリアや測位可能時間の拡大と測位精度の向上を図ろうとしている。

 GPSは、俗称“GPS衛星”と呼ばれる米国の人工衛星「NAVSTAR」を使った測位システムだ。現状では、測位に必要な4台のGPS衛星のうちの一部が山や高い建物の陰にが隠れてしまう場所がある。このため、山間部や都心部などで測位可能なエリアが限られてしまったり、測位の精度が低くなったりするといった問題が発生している。その結果、カーナビゲーション・システムやスマホの地図アプリを使って移動する場合などに道に迷ってしまうとか、高い信頼性や可用性(いかに障害が発生しにくく継続して使えるか)が求められる用途への適用が進めにくいといった状況が発生している。例えば、衝突防止などの高度道路交通システム(ITS)への応用や盗難車両などの追跡、廃棄物の不法投棄の防止などが高い信頼性や可用性を求められる用途だ。

 この解決策として日本政府が打ち出しているのが、準天頂衛星の活用だ。詳細は、記事「宇宙基本計画」に譲るが、これにより、測位可能なエリアや時間帯を拡大でき、測位の精度も上げられるようになる。ひいては、(1)カーナビゲーション・システムや地図アプリによる道案内の精度を高められる、(2)前述のような高い信頼性や可用性が求められる用途へのGPSの適用が進めやすくなる、(3)測量や地図情報の更新の作業効率を改善でき、鮮度の高い新たな地図が作りやすくなることから、新しい位置情報サービスの拡大が期待される、(4)建設施工や農林水産業の作業に使う建設機械や農業機械などの制御に測位情報が使いやすくなることから、それらの作業の省力化や効率改善に役立てられる可能性がある、などの効果が期待できる。すなわち、準天頂衛星の開発・製造・打ち上げといったビジネスだけでなく、測位システムにまつわる新たな派生ビジネスの誕生も期待されるのだ。そこに応用できる技術を持った企業にとっては、大きなビジネスチャンスとなる可能性がある。