筆者は、2013年5月14~16日に香港コンベンション&エキシビション・センター(Hong Kong Convention and Exhibition Centre)で開催された「香港国際医療機器&医薬用品フェア」(Hong Kong International Medical Devices and Supplies Fair)を訪れました。香港や中国の企業による展示の中にも興味深いものがありましたが、筆者が最も印象深かったのは、その他の国・地域の企業が中国市場進出を狙う姿でした。

 香港はもともと、中国本土と世界市場をつなぐ“ハブ”と称されることがよくあります。今回の展示会でも、その機能を期待して出展する海外企業がとても多かったように感じました。「我々が今回初めて出展したのは、中国などさまざまな国に展開する上でのハブとして、多くの人と交渉できる場所だからだ」(カナダの医療機器メーカー)。「中国市場の進出に当たってよい入り口になると考え、この展示会に初めて出展した」(韓国の医療機器メーカー)――。

 こうした香港における医療機器展示会の様子が指し示しているのは、中国を筆頭に、これからの成長が期待される新興市場に世界の多くの医療機器メーカーの視線が移ってきているという事実でしょう。もちろん日本においても、中国をはじめとする海外への展開に向けて、さまざまな動きが出てきています。

 例えば、政府は2013年4月、経済産業省の支援を受けて2011年に設立された「MEJ」(Medical Excellence JAPAN)を改組。これまでは主に医療ツーリズムの受け入れ促進を図るための組織でしたが、今回、医療サービスや医療機器の海外展開を促進する機能を大幅に拡充させました。「中国はもちろん、東南アジアや中東にも、日本の医療サービス・医療機器を輸出できる可能性がある」(経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課長の福島洋氏)。

 さらに、自治体では神奈川県が2013年4月、ヘルスケア産業に新規参入する企業の海外進出支援などを行うための組織、ライフイノベーション国際協働センター(GCC)を開設。会員には、味の素、コニカミノルタ、ソニー、日立製作所などが名を連ねました。一方で、医療機器における海外認証の取得支援サービスなどがにわかに活発になってきていることも、海外展開という大きなトレンドの胎動をうかがわせます。

 そこで、デジタルヘルスOnline/日経エレクトロニクス/日経ものづくりが2013年5月28日に開催するセミナー「中国で急拡大する医療機器市場で好機をつかめ ~新規参入企業×中国進出:市場・規制動向から具体事例まで~」では、中国医療機器の市場動向や、法規制・規格に関する全体動向に加え、中国での海外企業の誘致事例や、中国進出に当たってのポイントなどを紹介します。ご関心がありましたら、ぜひご参加いただければ幸いです。