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エディターズ・ノート

夢を描くとエレクトロニクスと土木がつながる

  • 久米 秀尚=日経エレクトロニクス
  • 2013/05/20 05:00
  • 1/1ページ

 「やっぱりね、技術者こそ将来のビジョンや夢を描かなきゃいけないんです」――。

 少し前の話になりますが、日経エレクトロニクスの2013年4月15日号で掲載した特集「朽ちないインフラ」での取材で伺った言葉です。次のような映像を見ながらのことでした。
 この映像は、米国の通信事業者であるAT&Tが1993年に展開した「You Will」というキャンペーンで放映したテレビCMです。有名なCMですので、ご存じの方も多いかもしれません。映像の中では、「近未来ではきっとこうなる」という思いを込めたエレクトロニクス技術や電子機器が描かれています。そして、「本当に1993年に思い描いたのか?」と驚くほどの正確さで、約20年後である現在を見通しています。

 冒頭の発言の主は、物質・材料研究機構の知京豊裕氏(国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)MANA主任研究者)。同氏は今、2012年12月に起こった中央自動車道の笹子トンネルの天井板崩落事故をきっかけに関心が高まっている「インフラ監視技術」の開発に取り組んでいます。物質・材料研究機構としては、高精度で安価な変位センサの開発を進めているのですが、並行して産業技術総合研究所や情報通信研究機構、土木研究所といった研究機関や民間企業との連携を図ります。

 「実は、私は20年以上つくばにいるのですが、去年(2012年)初めて土木研究所に行ったんですよ」。知京氏が所属する物質・材料研究機構と土木研究所はクルマで20分ほどの近所にあります。ですが、分野の違いなどから、これまで交流がほとんどなかったようなのです。

 今回、「老朽化するインフラを守る」という大きなテーマを掲げたことで、監視システムの全体像を描き、そしてそれに必要な要素技術を組織の枠を超えてかき集めているとのことでした。まず最初に技術のゴールを設定したことで、エレクトロニクスと土木/建築というこれまで独立した分野に一つの架け橋が生まれました。

 私もこの特集の取材で初めて土木研究所に伺ったのですが、驚きました。全国から集められた老朽化して撤去された橋梁や、試験用の模擬トンネルや橋梁など、センサの試験や測定器の性能検証に使えそうなモノがたくさんあったのです。

 土木のプロの知見に加えてエレクトロニクスの分野では、高精度なセンサの他、そのセンサの駆動源として期待されるエネルギー・ハーベスティングや、データを収集する低消費電力無線、膨大なデータ群から老朽化を予知する解析手法など、さまざまな技術が求められています。「将来的には電車の中央監視システムのように、インフラを椅子に座りながら見守る社会もあるのではないか」。目を輝かせながら未来像を語る知京氏の姿が印象的でした。

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