あそこの会社が出すんだから…

 Apple社がスマートフォンでの電子決済などの用途に向けて指紋認識機能の開発を進めている。このうわさは、同社による米AuthenTec社の買収が2012年7月に明らかになってから真実味が増し、まことしやかに語られてきました。AuthenTec社は指紋認識技術の開発を進めている企業です。

 同年10月には、スマートフォン向けの生体認証技術に関するApple社の特許が公開されています。同社が指紋認識技術を導入することで、これまで特殊な用途でしか使われてこなかった同技術が一気に身近になるとの期待感が膨らみました。(『日経エレクトロニクス Digital』の解説記事「Appleが触手を伸ばす、スマホ向け生体認証」)

 あたかも既定路線として存在するかのように報じられていますが、Apple社はiPhoneやiPadの新機種を発表していないし、指紋認識についても企業買収や特許以外に情報を公表していないことも事実。真偽のほどは定かではないとしか言えません。でも、その予測や推測が業界全体の技術開発を引っ張り、関連企業の業績や株価に影響を与えていることは確かでしょう。

 かねてからApple社が打ち出すとのうわさが絶えない、テレビの新機軸、そして腕時計型の携帯端末。これらも、まだ姿は全く見えぬものの、期待感が先行しています。

 でも、特に腕時計型の携帯端末については、最近自分が腕時計をしなくなったこともあり、正直なところ「ホント?」という気持ちもあるわけです。にもかかわらず、「あそこの会社が出すんだから、はやったりするのかもね」と思ってしまうところは、まだ魔法がとけていない一人なのでしょう。(関連記事「Appleの腕時計型端末の特許、フレキシブルで太陽電池も搭載」)

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 その、「えー、ホントに?」という新カテゴリーの機器が、もう一つアクセス・ランキングに入っています。9位の「GoogleがHMD『Google Glass』の仕様を公開」。米Google社が開発したヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)の仕様を公開したという記事です。(『日経エレクトロニクス Digital』の詳報「Google Glassの仕様が公開、骨伝導技術などで安全性に配慮」)

 夢のある話ではあります。SF映画の世界が本物になるわけです。私の世代で言えば、『ドラゴンボール』のサイヤ人が本当に登場するということになります。HMDを通して相手を見ると、「どれだけすごいやつか」が分かったりするかもしれないわけです。

 そして、Google社のHMDの登場が、米国で装着禁止の動きやプライバシーの論争に火をつけたことに愕然としたりもしています。まだ開発者向けで、一般に売られているわけでもないのに。