神話の崩壊、魔法がとけた、普通の会社に――。

 カリスマが去った米Apple社に落日が訪れつつある。そんな論調をメディアやアナリストが語り始めています。同社が2013年4月に発表した同年1~3月期の決算は、純利益が前年同期比18%減の95億4700万米ドル(約9642億円)と、ほぼ10年ぶりの減益。直近の株価は2012年9月のピークに比べ、6~7割ほどの水準に下降しました。

 スマートフォン「iPhone」やタブレット端末「iPad」の販売は伸びています。ただ、iPhoneの伸びは鈍化。低価格の旧モデルの比率が高まったことが減益につながったようです。今後1~2年の収益拡大への期待感が薄れたことを指摘するアナリストもいます。(関連記事「Apple神話の崩壊」)

未発表でも「量産遅れ」

 それでも、さまざまな予測、推測、憶測、うわさが人を走らせてしまうところは、Apple社のすごいところ。減ったとはいえ、まだまだ利益水準は極めて高く、技術のけん引役としての存在感が大きいことは間違いありません。

 Tech-On!のテーマサイト「家電・PC」の2013年4月9日~5月13日、ほぼ1カ月間のアクセス・ランキングで1位に輝いたのは、台湾科技市場研究 代表で日経エレクトロニクスの特約記者である大槻智洋氏のApple社に関する報道でした。(関連記事「新型iPhone/iPadが発売遅延? 部品メーカーの業績に影響も」)

 Apple社のサプライチェーン分析に定評がある台湾の証券アナリストが、「iPhone」「iPad」の新機種の発売が遅れるという趣旨のレポートを発行したという内容です。次世代機とうわさされる「iPnone 5S」「iPad mini 2」の量産出荷が2013年夏から同年秋以降にずれ込む。その理由の一つは、iPhone 5Sに搭載されるという指紋認識機能の開発に時間を要しているからなのだそうです。この量産の遅れは、部品メーカーなどの業績悪化につながる可能性があると結論付けています。