日経ものづくり2013年5月号の特集1「スゴい最先端工場」では、工場の建物や施設に着目しました。それに際し、工場への取材と並行して進めたのが工場自体を造るゼネコンへの取材です。ゼネコン各社は、さまざまな業界の工場を手掛けているだけあって、工場に求められている条件の変化を感じ取っていました。

 従来、工場の建設に求められていたのは、一にも二にもコストです。同じものを造れる工場であれば、安ければ安いほどいいというのが一般的な考え方でした。ところが、海外生産の比重が高まるにつれ、国内工場はマザー工場の役割を果たすだけでは不十分となり、海外工場にマネのできない独自性をあらためて求められます。すると、建設コストが安いだけでは海外工場との差異化できないということになります。

 我々が工場の建物や施設に着目したのは、それらが海外工場と差異化する手段の1つとして非常に有望だと考えたからです。実際、ゼネコン各社は工場における「品質」「環境」「事業継続性(耐震性など)」「納期短縮」といった取り組みを支援するための技術を多数用意していました。ゼネコン各社にとっても、工場建設の受注獲得競争が激しくなる中で、こうした技術が差異化ポイントになるわけです。

 もちろん、その中には顧客であるメーカーの要望を基に開発された技術もたくさんあります。今後も、製造業×ゼネコンという組み合わせから工場の魅力を高めるような技術が生まれることを期待しています。