「低価格=低付加価値」ではない

 生産財でも同じである。台湾MediaTek Inc.は、同社の画像処理LSIなどを顧客である機器メーカーが使いやすいように、開発環境などを整えることで成長した。かゆいところに手が届く使いやすさが意味的価値となっているわけだ。

 新興国でも、意味的価値の重要性は先進国と同じである。「日本製品は本当によく考えて作られている」「シンプルだけど、日本製を選びたい」と思ってもらえるような製品を投入しなければ、受け入れられないだろう。低価格であっても、付加価値が低くていいわけではない。

 新興国市場への挑戦は、日本製品を再び世界に誇るチャンスである。高級機種だけではなく、中間所得層が買える価格帯でも日本らしさを打ち出す必要がある。出発点が大切だ。

 そのためには、新興国向け製品に開発部隊のエースを投入するなど、日本市場向けの製品と同じように開発に取り組むべきだ。片手間で取り組むのなら、新興国には出ていかない方がいい。(談)