日本メーカーが新興国市場の攻略に本腰を入れている。中国やインド、東南アジア、南米といった経済成長が際立つ新興国で生き残りを懸ける構図だ。
では、新興国市場での地位を獲得するために日本メーカーは何をすべきか。『日経エレクトロニクス』(2010年6月28日号)のインタビューに三人の識者が語った、攻略における要諦を紹介しよう。
共通するのは、「日本メーカーが培ってきた強みを打ち出せ」というメッセージだ。
日本メーカーが新興国市場の攻略に本腰を入れている。中国やインド、東南アジア、南米といった経済成長が際立つ新興国で生き残りを懸ける構図だ。
では、新興国市場での地位を獲得するために日本メーカーは何をすべきか。『日経エレクトロニクス』(2010年6月28日号)のインタビューに三人の識者が語った、攻略における要諦を紹介しよう。
共通するのは、「日本メーカーが培ってきた強みを打ち出せ」というメッセージだ。
過剰スペックの落とし穴にはまらず、意味的価値を
過当競争を避けるために機能的価値を高めて独自性を出そうとすると、「過剰スペック」という落とし穴が待ち構えている。独自性を実現できても、顧客がコスト上昇に見合う対価を支払ってくれない状況が増えた。新興国で過当競争や過剰スペックの落とし穴に入り込んでしまっては、日本メーカーは勝てない。
新興国市場への挑戦は、日本製品を再び世界に誇る好機
日本メーカーが力を入れる新興国市場の攻略について、技術経営を専門とする一橋大学 イノベーション研究センター 教授の延岡健太郎氏は、「“安く作って、高く売る”ための価値づくりの重要性は、先進国でも新興国でも同じ」と語る。「ものづくりの質の高さが技術の価値につながりにくくなった今、高機能・高性能を中心…
日本メーカーを覆う“NIH症候群”を乗り越えろ
Samsungをまねしても、勝負の土俵には上がれない
日本メーカーが本格化している新興国市場の攻略について、「これまでの新興国での取り組みを真摯に振り返り、反省点を改革すべき」と話すのは、横浜国立大学 経営学部 教授のCho,Du-Sop(? 斗燮)氏だ。過去20年間にわたり、日本企業の海外展開や、韓国Samsungグループの経営戦略を研究してきた同氏…
「ちょっとした工夫」を確実に継続できるか
世帯年収が“1万米ドル”を超える生活者を、新興国攻略のターゲットに据える。これは、新興国での生活者調査の経験則から浮かび上がってきた数字だ。1万米ドルは、日本円では100万円弱である。日本の感覚では低所得だが、新興国では生活に固定費があまり掛からないケースが多い。親と一緒に大家族で生活しており、食費…
日本メーカーは甘かった、「地産地消」に進路を取れ
新興国戦略の重要性を記した『脱ガラパゴス戦略』(共著、東洋経済新報社)を2009年12月に出版した、野村総合研究所の北川史和氏は、「アジアを中心とする新興国の地理的な距離の近さが、制度や文化も近いという思い込みにつながった」と指摘する。現地メーカーと連携する「地産地消」の経営スタイルがカギという。