さて、Quanta Computer社のサーバーに関する先の一文は、台湾の経済誌『天下』が2013年4月15日号に掲載した記事の一部だ。同誌は、Facebook社のオレゴン州のデータセンターに設置されているサーバーについて、全てQuanta Computer社が台湾桃園県林口で製造したものだと指摘。その上で、Quanta Computer社のサーバー事業は、以前には米Dell社、米Hewlett-Packard(HP)社の受託生産が主力で、「Quanta」ブランドは出荷の3割に過ぎなかったが、2013年には自社ブランドの比率が85%にまで上昇する見込みだとし、受託生産企業のQuanta Computer社が、サーバーでは自社ブランド展開に力を入れている現状を紹介した。ただ、上海のEMS業界筋によると、サーバーの製造は上海の松江工場で行っているとのこと。天下誌が台湾林口で製造していると書いたのは、台湾企業がということを強調する意味合いがあるのだろう。

 Quanta Computer社がFacebook社のデータセンター用サーバーを受注したとの情報が出始めたのは2011年春先のこと。台湾紙『経済日報』(同年4月18日付)によると、Facebook社はそれまで、Dell社とHP社にサーバーを発注しており、この2社がQuanta Computer社や台湾Inventec社(英業達)に生産を委託していた。それが2011年春になってFacebook社はDell社やHP社を飛び越えてQuanta Computer社に直接発注したという。これについて同紙は、データーセンターを構成するサーバー、ストレージ、ネットワークを統合するQuanta Computer社の技術を、Facebook社が高く評価したためだとしている。

 その後、Quanta Computer社の林百里董事長は2012年4月25日、同社がFacebook社の他、Google社、ネット通販大手の米eBay社にQuantaブランドでサーバーを提供していることを認めた。その上で林氏は、サーバー事業など競争力のある製品は自社ブランドで、競争力のない製品は受託生産でやっていくとの考えを示している。

 2012年5月には、Facebook社が主導する非営利団体、Open Compute Project(OCP)に加盟した。OCPは、効率の高いデータセンターを構築するために、サーバーやデータセンター、ストレージの設計や仕様、知的所有権を共有する試みである。