こんなことを告白するのはいささか気恥ずかしいのだが、たまに日本に帰ると密かに楽しみにしていることがある。それは、本コラム「上海EMS通信」の各回に「いいね!」が何票入っているかを確認すること。

 中国ではソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の「Facebook」(米Facebook社)、短文投稿サイト「Twitter」(米Twitter社)のいずれも利用することができない。本コラムには冒頭の見出しの下に「いいね!」の表示欄が設けられているが、それも表示されない。したがって、何人の方が「いいね!」に入れてくださったのかも分からない。そこで、日本に帰国するたびに、過去の「いいね!」の数をチェックしては、一喜一憂しているというわけだ。

 さて今回は、そのFacebook社とEMS(電子機器受託生産)/ODM(Original Design Manufacturer)の関わりについて紹介しようと情報収集していたところ、「あなたや私の押した『いいね!』は、広達電脳製のサーバーを経由して処理されているのをご存知だろうか」という台湾メディアによる一文に目が留まった。広達電脳とはノートPCの受託生産で世界最大手のODM、台湾Quanta Computer社のことである。

 本コラムでも同社は何度か登場しているが、改めて簡単に紹介しておくと、2012年のノートPC出荷実績は5380万台で、世界出荷約2億台のうちの約25%を占めた。米Apple社の供給業者としても知られており、2013年1月にApple社が公表した製品の最終組立地17カ所のリストで、Quanta Computer社は米カリフォルニア州フリーモントと中国上海でパソコン「Mac」、中国江蘇省常熟で携帯音楽プレーヤー「iPod」のアセンブリを行っていることが明らかになっている。