「ドラゴンコレクション」の大ヒットで、大手ゲームパブリッシャーのソーシャルゲームへのシフトを先導してきたコナミデジタルエンタテインメントだが、一方で、3月に米国で開催されたゲーム開発者会議「Game Developers Conference」では、コンシューマゲーム(家庭用ゲーム機)向けの「メタルギア」シリーズの最新作を、自社開発エンジン「FOX ENGINE」とともにお披露目し話題を集めた。 同社・田中富美明社長は、ソーシャルの時代には、プラットフォームの垣根を越えたコンテンツとの接点を提供することと、その運用には“DevOps(デブオップス)”の思考が必要だと語る。KONAMIのコンテンツ制作への取り組みについて聞いた。 ※取材は2013年3月上旬に行いました。 (聞き手/秦 和俊、写真/吉田明弘)

――「メタルギア」シリーズ最新作となる「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」を2月に全世界で発売しました。反応はいかがですか。

コナミデジタルエンタテインメント 代表取締役社長 田中富美明氏

田中富美明氏(以下、田中氏):当初の計画通りに推移しています。「メタルギア」シリーズは、ワールドワイドで展開するAAAタイトルですので、日本はもちろんですが、欧米でのセールスをいかに伸ばしていけるかが重要だと考えています。

――その欧米での反応はいかがですか。

田中氏:今回のタイトルは、「メタルギア」シリーズのナンバリングタイトルではなく、スピンオフ作品となります。また、小島プロダクションではない外部の制作スタジオと初めて協業した作品となりますが、当初の想定以上の動きを見せていますね。


「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」
2013年2月発売、PlayStation 3
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――プラチナゲームズとの協業はいかがでしたか。

田中氏:協業はうまくいきました。プラチナゲームズさんが制作されるアクションゲームのクオリティーは非常に素晴らしいですね。作品に対して非常に強く思っていただき、とても良い作品に仕上がったと思います。

――「FOX ENGINE」というゲームエンジンを開発中とのことですね。

田中氏:「FOX ENGINE」は、弊社の小島プロダクションが開発している次世代ゲームエンジンです。

 自分たちが表現したい、より高次元の作品を創出できるように、ゲームを制作する上で根幹となるゲームエンジン自体を開発しています。

 FOX ENGINEはマルチプラットフォームで動作し、次世代ゲームコンソールにも対応できるように設計しており、高品質な作品を効率的に制作することができます。

 3月に米国で行われる「Game Developers Conference(GDC)」にて、小島(秀夫氏=執行役員エグゼクティブヴァイスプレジデント 小島プロダクション監督)がこの次世代ゲームエンジンであるFOX ENGINEに関して講演する予定です。

――小島秀夫監督は、FOX ENGINEを使って次のタイトルの制作に取りかかっているのですか。

田中氏:はい。GDCの講演で、FOX ENGINEを使用した「メタルギア」シリーズの最新作の映像とデモプレーをお見せする予定ですので楽しみにしていてください。

 小島プロダクションではクリエイターを募集していますので、この次世代ゲームエンジンで、ゲームの世界の新たな可能性に挑戦したいという志をお持ちの方はぜひご応募いただきたいですね。