内製の開発支援ソフトで、ゲーム開発収支が改善
――収益的に牽引したのは、家庭用ゲームタイトルだった。
襟川氏:ゲーム開発の効率が、非常によくなった結果だと思っています。当社には技術支援部という部署がありまして、開発効率や品質を向上させる開発支援ソフトを作っています。そのツールが大きな効果を生んだのだと思っています。
――開発支援ソフトというのは?
襟川氏:具体的に言いますと、フレームワークソフトと言います。マルチプラットフォームに展開するゲームタイトルを、非常に効率良く開発できるようになりました。例えば、プレイステーション3(以下、PS3)用にゲームを作っておくと、Xbox360や、Wii U、プレイステーション Vita(以下PS Vita)などの家庭用ゲームプラットフォームにプログラムをパッとはき出せる。そんな便利なフレームワークソフトを、技術支援部で開発しています。
ちょうど、プレイステーション2(PS2)が発売された頃に開発を始めましたから、かれこれ13年近く開発し続けています。プラットフォームが新しくなると、そこで使えるようにライブラリを追加してきました。今年発売される予定のプレイステーション4(PS4)にも対応中ですし、実はスマートフォンOSへの対応は既に済ませています。
――このツールに名前はあるのでしょうか?
襟川氏:「KTGL統合開発ツール」と呼んでいますが、長いのでフレームワークソフトでいいですよ(笑)。CGやオンライン、サウンド、映像などのさまざまなツールを統合しています。PS2にプラットフォームが移行した際に、マシンスペックの上昇と共に開発費が高騰して、PS3になってさらに開発費が上昇したのです。それを解決するために生まれました。
これから出てくるPS4などの新世代機に加えて、NVIDIAの携帯型ゲーム機や、OUYAというAndoroidベースの新しい家庭用ゲーム機も出てきそうです。こうした新しいプラットフォームに対しては、積極的に対応していきます。一昨年、グループの一員となったガストでも、最近開発をスタートしたタイトルは、このフレームワークソフトを使っています。
――このフレームワークソフトによって、利益が出てきた?
襟川氏:開発効率が良くなって、コストが低くなった点が挙げられます。さらに、プロジェクト利益管理、つまり納期・品質・コストの管理意識が徹底できてきたことが大きいと思います。家庭用ゲーム機タイトルでは、赤字プロジェクトは非常に少なくなりました。
一方、ネットワーク事業部が担当しているソーシャルゲームはまだら模様ですね。「100万人の信長の野望」や「100万人の三國志」、「100万人のウィニングポスト」などの、強力なタイトルの売り上げは安定しています。4月10日時点のソーシャルゲーム国内会員数は、820万人を超え、海外まで入れると1000万人を超えているのですが、残念ながら海外ではまだ充分な成果が出てきていません。「のぶニャがの野望」などが好評な台湾では大成功していると言えますが、2タイトルずつチャレンジした中国と米国では、当初の計画の数字にいたっていないのが現状です。
チャレンジしたのは、中国はフィーチャーフォン上で「100万人の三國志」と「100万人のモンスターファーム」、米国はスマートフォン(iOS、Android)のダウンロードアプリとして「100万人のモンスターファーム」と「のぶニャがの野望」です。
国によってゲームの嗜好がずいぶん違うな、という印象を持ちました。ですので、なおさらローカライズは非常に大切でして、それぞれの地域のゲームファン向けに、よりフィットさせていく必要がありますね。