2013年3月期の第3四半期決算時に、過去最高の売上高と営業利益を見込んでいた、コーエーテクモゲームス。業績の下方修正があったものの、営業利益は昨年比で微増となる見込みで底堅い。多くのメーカーが家庭用ゲーム機向けソフトでの売り上げ確保に苦しむ中、同社では収益の源泉とすることができた。「各タイトルにおける収益管理が徹底できたから」と代表取締役社長の襟川陽一氏は話す。2013年は、コーエーの礎を築いたPCゲーム「信長の野望」が30周年を迎える。PCゲームから、オンラインゲーム、ソーシャルゲームへと時代に合わせて進化しつつ、他社タイトルとのコラボレーションなどにも熱心だ。「これからはIPの展開力も重要だ」と語る襟川氏に2013年の戦略について聞いた。 (聞き手/渡辺一正=nikkei BP net、写真/稲垣純也)
――2013年3月期も大詰めとなりましたが、2012年度を振り返っていかがでしたでしょうか。
襟川陽一氏(以下、襟川氏):第3四半期までは、過去最高の売り上げと利益を計上できました。また、2月28日に発売した「真・三國無双7」、それから3月20日に発売した「ワンピース海賊無双2」(発売元:バンダイナムコゲームス)も出荷本数を伸ばしています。この2つの大きなタイトルに加えて、「DEAD OR ALIVE 5 PLUS」や、「NINJA GAIDEN 3:Razor’s Edge」なども発売できましたので、さらに上積みができると考えています。
2013年3月期は、第4四半期に年間で一番の山場を迎えてしまいましたが、できれば、上期と下期の比率を平準化できるようにしたいと思っています。当初、年間計画を立てる際はそうした観点でいるのですが、より良い品質のゲームを作りたいという思いが強くなって、だんだん開発期間が後ろにずれ込んでしまうのが実態です。上期と下期のバランスを良くすることは、常に取り組むべきテーマですね。
ただし、最近、開発陣の努力が実りまして、週刊ファミ通誌の評価で「プラチナ殿堂」をいただけることが多くなりました。昨年9月に発売した「DEAD OR ALIVE 5 」をはじめ、2012年末の「真・北斗無双」、今年に入って、「真・三國無双7」、「ワンピース海賊無双2」もプラチナ殿堂入りしました。大きなタイトルについては、プラチナ殿堂入りができる開発体制になってきたのだと思います。