家電・モバイル ボリュームゾーンの最新動向を知る
 

均質化と差異化の狭間で

竹居 智久=日経エレクトロニクス
2013/04/26 05:00
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 スペインの企業が「Firefox OS」を採用した開発者向けスマートフォンを発売したところ、あっという間に売り切れになったというニュースがありました(CBS Interactive社「CNET」による発売に関する記事売り切れに関する記事)。販売台数は公表されていませんが、やはりFirefox OSは新しいモバイルOSとして注目されているようです。

 今回開発者向けスマートフォンを発売したのは、スペインGeeksphone社(同社のWebサイト)。1GHz動作でシングルコアのCPU、3.5型の液晶パネル、300万画素のカメラを搭載するエントリー機「Keon」と、1.2GHzでデュアルコアのCPU、4.3型の液晶パネル、800万画素のカメラを搭載する「Peak」の2種を発売しました。

 Firefox OSは、Mozilla Foundationが管理するオープンソース・プロジェクトで開発されている、スマートフォンなどに向けたソフトウエア・プラットフォームです。Webブラウザー・エンジン「Gecko」上でアプリケーション・ソフトウエア(以下、アプリ)を実行する形態を採っており、以前は「Boot to Gecko(B2G)」と呼ばれていました。2013年夏にも、複数の携帯電話機メーカーがFirefox OSを搭載したスマートフォンを投入する予定です(Tech-On!の関連記事)。

 この他に、「LiMo」と「MeeGo」の流れをくむ新しいモバイルOS「Tizen」を搭載したスマートフォンも2013年に登場します。Firefox OSやTizenなどの新しいモバイルOSの登場が意味するものは何か――。『日経エレクトロニクス』では、各所への取材を基に2013年4月29日号の特集「さらば端末ビジネス ~HTML5が突きつける最後通告~」をまとめました。

 この特集で筆者が伝えたかったのは「アプリを任意に追加してもらうスマートフォンなどのコンピュータには、どうしても均質化への圧力が働いてしまう」ということです。ユーザーやアプリ開発者にとっては、すべてのアプリを、どの端末であっても使えることが望ましい。アプリをHTML5化しようとするFirefox OSやTizenは、そうした市場の要求を象徴しています。以前から言われていた「スマートフォンのコモディティー化」が加速しそうな状況にあります。

 機器そのものの機能や性能で差異化を図る――。こういった機器メーカーの発想(弊誌を含めた国内エレクトロニクス産業全体の発想と言えるかもしれません)は、アプリ追加を前提とする汎用コンピュータの市場の要求とは矛盾してしまうのです。機器メーカーは、そうした構造的な問題を踏まえて戦略を練り直す必要がありそうです。他者がスマートフォン向けに開発し、熟成させた技術を真っ先に異分野の独自製品に活用するといった立ち回りのうまさも重要になるでしょう。特集のタイトルとしてやや刺激的な言葉を選んでしまいましたが、端末ビジネスが新しい形に変貌することを期待して今回の特集をまとめました。

 今回の特集では、Firefox OSやTizenの詳しい内部構造に関する寄稿も掲載しました。Firefox OSやTizenの実体や、それらが意味することにご興味がおありでしたら、ぜひご一読いただければ幸いです。

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