米国の天然ガス生産量(資料:米国エネルギー省)
米国の天然ガス生産量(資料:米国エネルギー省)
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エチレン由来品は安くなるが

 素材産業については、安価なシェール・ガスから生産できるエチレン由来の製品と、原油のみからつくる生産品(プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)から生み出す製品で、輸出入バランスと価格トレンドが現在とは変わる可能性が高い。エチレン由来のポリエチレン、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステルなどは、原油(ナフサなど)でなはく、米国産のシェール・ガスを原料として生産する比率が高まるはずだ。価格低下が見込める。また、原料産出国である米国での生産が増えることになる。調査レポートによると、日本企業ではクラレや信越化学の子会社シンテックがエチレン由来の製品の工場を米国に新設する予定という。

 フェノール樹脂、アクリル繊維、ポリウレタン、塗料溶剤など原油からつくる製品は、供給量が減ることが見込まれる。ブタジエンやベンゼンなどの価格押し上げ要因になるとともに、代替品の需要を大きくする。調査レポートによると、ブタジエン代替品の製造技術では日本企業が先行しており、高い競争力を持つ。販売を拡大できる可能性が高い。

 一方、エチレン由来の製品では、日本の生産品は米国での生産品に対してコスト競争力が落ちる。需要が増えている中国市場向けで米国製品が販売を拡大することが考えられる。