「レイトン教授」や「イナズマイレブン」などの人気シリーズを抱えるレベルファイブ。2012年には、新作の「ファンタジーライフ」や、新しいコンセプトの「GUILD」をリリースするとともに、本格的にソーシャルゲームへの参入も果たした。
 ところが、同社を率いる日野晃博社長は、「これまでのスマートフォン向けのゲーム制作では、自分自身で腑に落ちていない部分があった」と率直に語る。日野社長がこだわるスマートフォン向けゲーム制作に必要なことや、新作ゲームへの取り組みについて話を聞いた。(聞き手/中村 均、秦 和俊、写真/吉田明弘)

2012年度のゲーム業界を振り返ると、引き続きソーシャルゲームの勢いが目立ちました。現在のゲーム産業全体をどう見ていますか。

レベルファイブ 代表取締役社長/CEO 日野晃博氏

日野晃博氏(以下、日野氏):一言でいうと、ものすごい勢いで変わっていますよね。変革期の真っただ中にいると思います。ソーシャルゲームの波が来る中で、新しいゲーム性を持たせたコンテンツの開発に対応していかなければならない――。その一方で、家庭用ゲーム機向けのビジネスも守らなければならない。この両方に対応しなければ生き残れないと思うので、今が正念場だと感じています。

 僕らとしては、感覚を研ぎ澄まして変化をいち早く感じ取り、次の一歩を踏み出す必要があると考えています。

昨年末に発売した新作「ファンタジーライフ」は売れ行きも好調だったようですね。店頭では売り切れが出たと聞きました。

日野氏:12月27日という年末ギリギリの発売だったので、僕らは販売店さんに「もうちょっと仕入れておかないと、冬休み中に品切れになるかもしれませんよ」と売り込んでいたのですが、どうしてもブランニュータイトルの発注には慎重になったようで(笑)。僕らとしても、リピート発注に備えてできる限りの在庫は持っていたのですが、結果としては、発売後3日くらいで品切れになってしまいました。