2012年、新たな挑戦とも言えるオープンワールドの世界観を取り入れた新規のオリジナルタイトルとなるアクションRPG「ドラゴンズドグマ」を発売し、手応えをつかんだカプコン。しかし、同社にとって看板タイトルの1つである「バイオハザード6」については、「出足は好調だったが、結果として当初計画は未達だった」と厳しく受け止める同社の辻本春弘社長。
 2013年には大型タイトル「モンスターハンター4」の発売を控え、開発スピードに拍車をかける一方で、インターネットの進展によるゲームユーザーとの継続的な関係や流通構造の変化に向け、新たなビジネスモデルの構築を模索する。この状況を「大きなチャンスでもあるが、逆にピンチでもある」と辻本社長は語る。その真意と、今後の展開について同社長に聞いた。(聞き手/渡辺一正=nikkei BPnet、酒井康治=日経ビジネス、写真/稲垣哲也)

次の成長に向けて考えさせられた2012年

まず、コンシューマゲーム機向けのタイトルについてお聞きします。2012年はカプコンにとってどんな1年でしたか。

「ドラゴンズドグマ」に手応えを感じたと話す辻本氏

辻本春弘氏(以下、辻本氏):大きなトピックの1つは、2012年5月に「ドラゴンズドグマ」を発売したことです。これまで、カプコンがあまり手がけてこなかったファンタジーの世界観を題材として、「オープンワールド(ゲーム内の世界を自由に動き回りながら各種のイベントを攻略し、ストーリーを進行させていくゲームの1ジャンル)」にチャレンジしました。それだけに、どのような評価をユーザーからいただけるのか、期待とともに心配もありましたが、日本では50万本のセールスを達成できました。カプコンの得意分野ではなかったRPG(ロールプレイングゲーム)であり、かつ全くの新作ということを考慮すると、予想以上の結果であり、非常に評価できると思います。

 欧米では、このジャンルに「The Elder Scrolls V:Skyrim(スカイリム)」という大ヒットしているタイトルがあります。「ドラゴンズドグマ」が簡単にそのレベルまで達するとは思ってはいませんが、ワールドワイドで100万本のセールスを記録し、ある程度の手応えは得られました。ただ、もう少し海外では売りたかったというのが本音ですね。

 今年の4月25日には「ドラゴンズドグマ:ダークアリズン」を発売します。「ドラゴンズドグマ」のプレーヤーの意見を聞いて改善を加えており、今後大型タイトルとして成長できるかどうか、勝負どころになるでしょう。

「ドラゴンズドグマ:ダークアリズン」
権利表記:(C)CAPCOM CO., LTD. 2012, 2013 ALL RIGHTS RESERVED.、発売時期:2013年4月25日予定、価格:[パッケージ版]4990円(税込)、[PlayStation(R)3 ダウンロード版]4990円(税込)、※Xbox 360(R)のダウンロード版は配信日・価格未定(公式HPより)
[画像のクリックで拡大表示]