これまで以上に環境にやさしく、そして安全に。
Tech-On!のテーマサイト「クルマ」で、この1カ月間(2013年3月26日~4月22日)に読者の関心を集めた記事は、自動車技術の近未来を捉えた長編の解説記事でした。
アクセス数の1位は、『日経ビジネス』の細田孝宏・ニューヨーク支局長らが書いた「ホンダ、開発を“開国”する」。日本の製造業のグローバル化で先頭を走ってきたホンダの改革を詳細にまとめた記事です。
リーマンショック後に、大きく変わった世界の風景。それに対する備えができていなかったと反省するホンダが、いかに反転攻勢していくか。世界をリードしていると思っていたエンジン技術で優位性を失い、新興国でも他社の攻勢に悩んでいる。自動車の近未来に向けて、競合から後れを取ったという危機感が改革につながっています。
「開発を開国」の理由
ガソリン・エンジンからディーゼル・エンジン、ハイブリッド・システムを総入れ替え。過去にエンジン開発を経験し、別部門に異動したOBを、若いリーダーの補佐役として緊急招集しました。それと同時に、北米の開発子会社にV6エンジンの開発を移管する取り組みを進めています。
北米への依存度が高かった世界販売の状況から脱却するため、日本で完結していた開発体制を改め、グローバル車種では日本、北米、欧州アジア太平洋、南米の世界6極で設計を進める。開発の海外現地化によって、地球規模で生き残る。これが、「開発を“開国”する」という言葉の理由になっています。
環境性能の進化や、新興国市場の急伸という今後数年の変化を見据えて、ホンダは改革に本腰を入れているわけです。
別の業界を見てみると、高度経済成長のシンボル的存在として同社と並び称されるソニーは、「開発を開国」した後に別の角度から悩みが生じました。今なお赤字から抜け出せないテレビ事業では逆に、海外で地域ごとに開発していた回路設計などを2009年ころから東京に集中。同時に、海外の生産拠点を大胆に整理した経緯があります。