「自動車の各種規制を振り返ると米・欧が主導的立場となってきた。世界生産で言えば自動車大国と言えるようになった日本が未だに欧米の規制を追いかけているようでは情けない。日本の基準を満たせば欧米の全ての規制にクリアするくらいの厳しい基準を設ければ仕向け地別に仕様を変える事も不要になり、逆にコストダウンに繋がるのではないか。少なくとも安全装備だけは世界をリードして欲しいと強く思う

 ホンダの航空機「HondaJet」を開発した米Honda Aircraft社 社長兼CEOの藤野道格氏は、ランキングの18位に入ったインタビュー記事「物理法則に従って、常識を破る」で、こう述べています。

 「日本では、誰もやっていないような新しい研究を始めようとすると、必ず『他にやっているところはあるか』と聞かれます。これに対し『米国のA社がやっています』とか『米航空宇宙局(NASA)がやっています』と答えると『よし、やれ』、逆に『世界中で他にやっているところはありません』と返すと『じゃあ、可能性がないからやめろ』となる。本当の研究というのは、逆だと思いませんか

 誰もやらないことをやれ――。イノベーターと呼ばれる人々にインタビューすると、異口同音に必ず返ってくる言葉です。「技術開発で成功するための普遍的な条件の一つだから」という見方は、たぶん間違っていません。ただし、多くの人がこの言葉の意味をかなり正確に理解しているのに、実践に移すことが最も難しい条件でもあります。その理由は、藤野氏が語っている通りです。

 「規制」という言葉には、「やらなければならないから」「しょうがないから」という後ろ向きな解釈が成り立つ雰囲気が漂います。でも逆に、「誰もやらない方法で解決しよう」と考えた瞬間にイノベーションへの道が開ける。それが世界に冠たる日本の製造業を支えてきた技術開発の真髄だとすれば、近未来のクルマにはイノベーターのDNAがきっと生かされるに違いありません。