2013年度から5年間の宇宙基本計画が2013年1月に日本政府によって決定された。この中で、日本の宇宙政策を従来の開発重視のものから利用重視のものへと変えていく必要性が訴えられている。宇宙基本計画は、日本の宇宙政策の基礎に位置付けられるもの。宇宙基本法(平成20年法律43号)第24条に基づいて、5年ごとに定められる。

図1●増築した鎌倉製作所の新人工衛星生産棟
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 「NEC、府中事業場内に大型人工衛星の組立工場を新設---震度7クラスの地震にも対応」「三菱電機、鎌倉製作所で増築中だった人工衛星生産棟が竣工---生産能力を従来比2倍の年8機に」(図1関連記事)。最近、日本の人工衛星メーカー2社が立て続けに、生産能力の増強を発表している。背後には、人工衛星市場の拡大の見通しがあるが、日本の宇宙政策の見直しへの期待も大きい。

 三菱電機鎌倉製作所所長の岡村将光氏によれば、海外市場、とりわけ東南アジアをはじめとした新興国で、通信衛星を中心とする人工衛星の需要が高まってきている。予測される商用衛星の需要は、世界規模で年間30機/年。これが2020年に向けて数年間継続すると見られている。同社はこうした海外需要を取り込もうと狙っている。

 その一方で、期待しているのが国内の衛星需要だ。冒頭で触れたように日本の宇宙政策は開発重視から利用重視へと大きく軸足を移そうとしている。日本政府は今後、宇宙利用の拡大を図って国民生活の質を向上させる方針。そのために「さまざまなプログラムを検討中」(岡村氏)という。三菱電機は、そうしたプログラムに参加して、その中で国内の衛星需要を取り込んでいきたいとしている。