2013年4月17日の米国市場において、米Apple社の株価が2011年12月以来、400米ドルの大台を割り込んだ。需要減速に対する懸念が再燃した形だ。

 同社のスマートフォン「iPhone」を受託生産することで知られるEMS(電子機器受託生産)世界最大手、台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕社が2013年4月10日に発表した同年第1四半期の業績でも、売上高が8089億6900万台湾ドル(1台湾ドル=約3.3円)と、1兆1370億台湾ドルを記録した2012年第4四半期に比べて28.85%減少、前年同期比でも19.21%減と大きく減らした。「iPhone 5」や9.7型タブレット端末「iPad」などApple向け出荷の落ち込みが業績を直撃したものと見られ、翌11日付の台湾メディアには「鴻海は神ではなかった」(工商時報)、「甘くなかったリンゴ」(ETtoday)などの見出しが並んだ。

 日系電子部品メーカーの中には、Apple依存を減らすため、韓国Samsung Electronics社からの受注獲得を目指すところが増え始めているとの話も聞かれるようになってきた。Samsungが2013年4月末から発売を予定するスマートフォンの2013年の旗艦モデル「GALAXY S4」の出荷見込みについて、中国や台湾のアナリストの中には、発売当初が単月1000万台、2013年通年では7000万~8000万台と予想する向きが多い。部品メーカーにとっては魅力的な数字である。

家電量販大手、蘇寧電器中山公園店のSamsungコーナー
「GALAXY S4予約受付開始」のポスターが貼られていた。中国での発売開始は2013年4月27日の予定。
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 こうした中、Samsungからの受注を失ったのではないかとして、台湾の市場や業界で話題になった企業がある。台湾のODM(Original Design Manufacturer)、Compal Electronics社(仁宝電脳)である。ただ、製品はスマートフォンではなくノートPCだ。

 台湾の経済紙『工商時報』(2013年4月13日付)によると、Samsungが米Hewlett-Packard(HP)社から迎えた幹部が、PC市場の需要が縮小していることで自社の生産ラインの稼働率を確保する必要が出たこともあり、ノートPCのサプライチェーンについて見直しに着手している。2013年初頭の時点で、Compalに対するノートPCの生産委託を、同第2四半期を最後に打ち切ることを決めたというのだ。