利用者層の拡大も、あらかじめ視野に

 「Gunosyのようなサービスでは、紹介した記事が利用者に百発百中で読まれる必要なんてありませんよね。『読まれないリスク』を取って記事を紹介することが大切だと思うんです。それが、利用者に思いがけない記事との出合いをもたらす。これがあって初めて、利用者に満足や喜びを感じてもらえるのです」(福島氏)。

Gunosy 代表取締役社長の福島良典氏(左)と、ソフトウエア開発担当の関喜史氏(右)
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 「時には、利用者を裏切る」という機能面でのスパイスを効かせておく。もちろん、それは「心地いい裏切り」である必要がある。重要なのは、そのリスクを取ることだというわけだ。利用者が離れてしまうというリスクと背中合わせのさじ加減は、難しい。福島氏は続ける。

 「RSSリーダーどころか、インターネット検索ですら、人間にとってはかなりハードルが高い作業だと思うんです。自分が何を知りたいのか、利用者が能動的に意識しなければ情報を探せないですから。もっと受動的に楽しめて、それでいてテレビや新聞よりも利用者の嗜好に合っている。そんなコンテンツを紹介できていると自負しています」

 現在の利用者は、インターネットやIT(情報技術)に明るい、いわゆる「アーリーアダプター」の20~30歳代の男性が多いという。100万人という目標を実現するには、利用者層を広げていく必要がある。それも、十分に理解している。

 「サービスの中核は、個人の嗜好に合わせたパーソナライズです。つまり、配信するヘッドラインの内容は、利用者の興味によって全く違います。例えば、恋愛やファッションについての情報をソーシャル・メディアで多く投稿していて、Gunosyが紹介した記事も同じような興味で選んでいれば、毎日配信されるヘッドラインは女性誌のように華やぐはずですよ」(福島氏)。

 Gunosyは、2013年2月に投資家から3160万円を調達した。

 「この資金であれもこれもといった事業展開をするつもりは、全くありません。2013年中に100万人という目標を掲げていますが、この目標は『楽しい、面白い』体験を利用者に提供した結果でなければならないと考えています」