SSMとは

 筆者らは、個別の製品企画における製品構造と評価体系の充実化とシンプル化を図りながら、部品構成をベースに設計者が思考することに順応していける手法としてSmart Structure Management(SSM)を開発した。SSMは「製品構造」と「評価体系」の関係性に着目し、それぞれをスマートな構造にすることを目指す手法である。SSMを用いることで、各製品開発設計プロジェクトにおける開発設計期間短縮、品質向上、コスト削減を実現できるのに加えて、製品共通化、技術力向上、組織的開発設計推進など製品群全体を俯瞰した開発設計戦略の実効力を向上するための基盤を構築できる。

 SSMでは、製品構造と評価体系の関係性を表すためにSRM(Structure Relation Matrix : 構造関係表)というツールを使用する(図1)。

図1●SRM(Structure Relation Matrix : 構造関係表)
図1●SRM(Structure Relation Matrix : 構造関係表)
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SSMのコンセプト

 SSMのコンセプトにおいてスマートな構造とは、「充実化(Rich)」と「シンプル化(Simple)」が同時実現されていることを指す。具体的には、「製品構造の充実化」は評価項目への影響を網羅的に考慮した開発設計を行うこと、「製品構造のシンプル化」は製品仕様・設計仕様と製品構造の関係がシンプルな開発設計を行うこと、「評価体系の充実化」は製品構造のシンプル化とあわせて評価体系の詳細化、評価項目の具体化を行うこと、「評価体系のシンプル化」は製品構造と評価体系の関係から評価項目を重み付けし、特に重点となる項目を明らかにしてメリハリを付けた体系にすること(重点化)を指す(図2)。

図2●SSMのコンセプト
図2●SSMのコンセプト
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