スマート社会を実現するエネルギー技術の情報をお届けする「エネルギー」サイトに投稿の全記事を対象に、直近2週間(2013年3月18日~4月14日)でアクセス数が多かった20本を紹介する。最も読まれたのは、パナソニッの「熱発電チューブ」を紹介した記事だった。
熱発電チューブは、熱が伝わりにくい熱電変換材料と、熱が伝わりやすい金属を交互に傾斜して積層した構造を、チューブ状に加工したもの。このチューブ状の傾斜積層構造体にお湯を流すなどして、チューブの内側と外側で温度差を作り発電する。パナソニックは、京都市左京区のごみ処理施設「東北部クリーンセンター」で、この「熱発電チューブ」の発電検証試験を開始した。
今回の試験では、ごみ焼却で発生した排熱のうち、現在は利用できていない低温域の蒸気を使って90℃程度の温水を生成して、パナソニックが試作した熱発電チューブ内に流し込み、施設内で使っている冷却水(約10℃)をチューブの外側に流す。チューブの内外に温度差を生じさせて発電し、試験で得られたデータから、熱発電チューブの発電能力を検証する。目標は400W/m3以上の発電量を得ることとしている。
2番目に読まれたのは、EV普及のカギと言われている「無線給電」に関する記事である。この記事では、長野市で実際に運行されている循環バスを使っての実用評価を紹介した。1周8kmの比較的短いコースを40分程度で毎日4回運行している。評価に使う車両は、早稲田大学などが開発した、短距離走行高頻度充電型の電動バスである。
大型で車重が重いバスの場合、電動化しようすると大容量の蓄電池が必要になり、乗用車以上にコスト上昇や乗車スペースの犠牲を招きやすい。しかし、短距離走行に限るなら充電回数を増やすことで蓄電池の搭載量を減らせる。その際、頻繁に生じる充電作業をワイヤレス給電によって軽減するというのが「短距離走行高頻度充電」のコンセプトである。
3番目に読まれたのは、太陽光発電の買い取り制度について議論した記事だった。記事によれば、買い取り価格が高すぎて失敗した代表例としてスペインを挙げている。当初、買い取り価格が非常に高く、2007~2008年に爆発的に太陽光発電システムの導入量が増えたために、翌年には導入量を大幅に抑えざるを得なくなり、一度膨らみかけた市場が急速に萎んでしまった。
一方で、筆者は買い取り制度に成功した国としてドイツを挙げている。当初は70円/kWh相当と高い買い取り価格だったが、市場の反応がやや鈍く、そのおかげで市場の拡大とシステム価格の低下、そして買い取り価格の低減が比較的バランスよく進んだからだ。ただし、すべてがバラ色ではないという。例えば、ドイツ国内の太陽電池メーカーがほぼ壊滅状態になったことを挙げている。中国メーカーの太陽電池が市場を席巻し、ドイツのメーカーの多くは倒産や身売りに追い込まれまたという。