LGE社については、台湾紙『経済日報』(2012年4月6日付)が、スマホの伸び悩みを背景に2010年から2年間余り、生産の外部委託を見合わせていたと報じている。それによると、LGE社は、携帯電話の出荷台数が過去最高で年間1億台に達し、うち1割の1000万台を、Arima Communications社など外部に生産委託していた。Arima Communications社はこれらの影響をもろにかぶったというわけだ。

 こうした中、台湾の金融情報サイト『理財網』(2013年4月3日付)は、スマホ販売で世界3位入りを目指すソニーが2013年、Xperiaのハイエンド機種を内製する一方、外部に対する生産委託も積極的に活用すると報じた。Arima Communications社、台湾Compal Communications社(華宝通信)、FIH社の3社に対する発注規模が1800万~2000万台に達し、うち、Arima Communications社の受注量は700万~800万台だとしている。

 理財網は、Arima Communications社がソニーから受注した入門機「Xperia E」の出荷を2013年1月から少量始めていたが、同年第2四半期から各国・地域の通信キャリア向けにXperia Eの出荷を世界規模で本格化すると報道。また、Motorola Mobility社から改めて受注に成功したマホ2機種の出荷も同期に始まると伝えた。さらに、台湾の金融情報サイト『cnYES』(2013年3月29日付)は、ソニーが2013年第3四半期、台湾のIC設計大手MediaTek社(聯発科)のクアッドコアチップを搭載したスクリーンサイズ5インチのXperia入門機を市場に投入すると報道。同機の製造をArima Communications社に委託すると報じている。

 台湾の市場関係者は、Arima Communications社が2013年の携帯電話出荷目標を前年4割増しの1400万台に置き、その全てをスマホが占めると見込んでいるとする。ただし、Xperiaの2013年の旗艦モデル「Xperia Z」が市場で好評を博していることから、相乗効果でArima Communications社が手がけるXperia Eや、Compal Communications社が受託生産するミドルレンジの「Xperia L」の販売が予想を上回り、発注が追加されることも十分にあり得ると指摘している。救世主とまで言うといささかオーバーかもしれないが、iPhoneの減速が言われる今年、ソニーのスマホが台湾系EMS/ODMの中で存在感を高めるのは間違いなさそうだ。