「フォックスコンが『iPhone』受注」
「Microsoft初のタブレット端末『Surface』、アセンブリは台湾Pegatron社が独占」
「『iMac』、最終組み立ての一部を台湾Quanta社の米工場で」
「Googleの『Nexus 7』、次世代モデルもQuantaが独占受注か」

 中国や台湾メディアの産業・金融面には日々、EMS(電子機器受託生産)やODM(Original Design Manufacturer)の製品受注についてのこうした見出しが踊る。ただこの数年、発注元として華々しく取り上げられるのはスマートフォンとタブレットPCの台頭を反映して米Apple社、米Google社、米Microsoft社、「Kindle Fire」シリーズの米Amazon.com社などの米国勢がメーンだった。

 一方、スマートフォンと薄型テレビで業界をリードする韓国Samsung Electronics社は内製が中心なので、EMS/ODMの受発注がらみで話題になるのは、Apple社に対する部品供給や、薄型テレビで台湾系業者から液晶パネルを調達したという内容が中心だ。そして日系はといえば、テレビ販売の不振やスマホ出遅れの影響でここ数年、EMS/ODM関連の受発注でニュースの主役になることはほとんどなかった。

 こうした中、日系から台湾系ODMへの発注が久々に注目を集めている。スマートフォンや携帯電話のODMとして知られる台湾Arima Communications社(華冠通信)がソニーから、ソニーモバイルコミュニケーションズのスマホ「Xperia」シリーズの受注に成功し、出荷を本格化し始めるというニュースである。

清明節連休2日目の2013年4月5日、上海の淮海中路にあるSony StoreのXperia展示コーナーで実機を試す客ら
清明節連休2日目の2013年4月5日、上海の淮海中路にあるSony StoreのXperia展示コーナーで実機を試す客ら

 調査会社米Gartner社が2013年2月13日(米国時間)に公表した統計によると、ソニーは2012年通年の携帯電話販売で世界のトップ10から漏れた。しかし同年第4四半期に限れば約794万台、シェア1.7%で9位だった。また、調査会社IDC社が2013年1月24日(米国時間)に公表した2012年第4四半期のスマートフォン出荷統計で、ソニーは出荷台数980万台、シェア4.5%で4位に入っている。スマホ出荷でソニーよりも上位にいるのは首位から順にSamsung Electronics社(6370万台)、Apple社(4780万台)、中国Huawei社(華為、1080万台)。Samsung Electronics社、Apple社の2強との差はなお大きいものの、世界で戦う体制を整えつつある。