前回は物理層がRS485ベースの産業用ネットワーク(いわゆるフィールドバス)について、説明しました。その中で、物理層にRS485を使った産業用ネットワークの代表例として、「PROFIBUS DP」「DeviceNet」「CC-Link」の3つを紹介しました。

 これら3つの産業用ネットワークの普及活動は、1990年代初め、あるいは半ばからスタートしています。しかし、実はその物理層であるRS485は1960年代に開発された規格です。このため、どうしても通信そのもののパフォーマンスに限界が出てきています。そこで、RS485に代わる次世代の通信ベースの技術として現在注目されているのがEthernet技術です。

 Ethernetはオフィスまたは家庭用のLAN(Local Area Network)技術として、1990年代から広く用いられるようになってきました。当初は10Mbpsの速度が主流でしたが、1990年代の後半になると100Mbpsの速度で通信できるFast Ethernetが一般に使われるようになってきました。

 Ethernetは、ERP(Enterprise Resource Planning)と工場現場の間の通信、あるいは制御機器間、または制御機器とHMI(Human Machine Interface)機器をつなぐコントロール・ネットワークとして、1990年代から工場で使われてきました。しかし、現場ネットワークとしては、あまり使用されてきませんでした。それには2つの理由があります。

(1)現場のネットワークは制御のためのリアルタイム性が必須であるが、Ethernetでリアルタイム性が実現できるかどうかが疑問だった。

(2)工場では、温度、粉じん、ノイズなど、使用環境がオフィスや家庭に比べて厳しいため、この環境にEthernetが耐えられるかどうかが疑問だった。